How to
質問できない人のための、聞き方のテンプレート
職場で質問できない人は、たいてい「聞くのが苦手な性格だから」だと思っています。でも、実際に詰まっているのはもっと手前です。一文目に何を書けばいいかが決まっていないため、書き出すたびにゼロから考えることになり、その負荷で手が止まります。
だから直すのは性格ではなく、聞くタイミングと、書き出しの型です。
まず、聞くタイミングを時間で決める
「調べてもわからなかったら聞く」は基準になりません。どこまで調べれば「わからなかった」ことになるのか、自分でも判断できないからです。判断がつかないと、人は先延ばしします。
時間で切ります。
- 手が止まったら、タイマーを15分でセットする
- 鳴るまでに解決しなければ、聞く
- 解決していたら、そのまま進む
15分という数字自体に根拠はありません。10分でも20分でもかまいません。重要なのは、聞くかどうかを自分の感情ではなくタイマーに判断させることです。感情に判断させると、疲れている日ほど「まだ聞かなくていい」に倒れます。
3日黙るのは、誰の時間も節約していない
質問を我慢する理由の多くは「相手の時間を奪いたくない」です。ですが、3日詰まったあとに出す遅延報告は、上司の時間もチームの予定も動かします。
15分で聞けば、相手の10分で済む。3日黙れば、あとで何人かの半日が動く。時間の総量で見ると、早く聞くほうが安く済みます。
次に、書き出しの型を保存しておく
タイミングを決めても、二週目くらいで崩れます。相手が忙しそうな日に、また手が止まるからです。
ここで効くのは気合いではなく、下書きです。チャットツールの下書きか、メモアプリに、次の型を貼っておきます。
コピーして使う型
- 15分詰まりました。
- やりたいこと:
- 試したこと:
- 今の状態:
- 手が空いたときで大丈夫です。
4行を埋めるだけの作業になれば、疲れている日でも手が動きます。文章を考える作業と、空欄を埋める作業では、必要なエネルギーが違います。
4行それぞれの役割
「15分詰まりました」
最初に時間を出すと、相手は状況の深刻さをすぐ判断できます。「15分」なら軽い確認、「3日」なら要相談だと伝わります。自分の努力量をアピールする行ではないので、盛らないでください。
「やりたいこと」
手段ではなく目的を書きます。「この設定を変えたい」ではなく「月末にバッチが落ちるのを止めたい」です。目的が見えると、相手は前提から間違っている場合に気づけます。
「試したこと」
ここがある質問と、ない質問では、返ってくる答えの質がまったく違います。相手は同じことを提案せずに済み、こちらは丸投げに見えません。2〜3個で十分です。
「今の状態」
エラーメッセージ、画面の状態、数字。解釈ではなく事実を書きます。「うまくいきません」は状態ではありません。
「手が空いたときで大丈夫です」
この一行が、心理的にいちばん効きます。相手の作業を中断させている感覚が薄れるので、送信ボタンが押せるようになります。
ただし、本当に急ぐときは書かないでください。「本日中に判断が必要です」と正直に書きます。緊急を緊急として伝えないほうが、あとで問題になります。
それでも聞けない場合
型を用意しても聞けない相手がいる場合、それは技術の問題ではありません。
- 質問すると不機嫌になる、質問した内容を後で持ち出される
- 「そんなことも知らないのか」と人前で言われる
こういう相手には、聞き方を工夫しても解決しません。聞く相手を変えてください。別のチームでも、同期でも、社外のコミュニティでもかまいません。質問先を1人に固定しないこと自体が対策になります。
まとめ
- 聞くかどうかは、感情ではなくタイマーで決める
- 一文目を毎回考えない。型を保存して埋めるだけにする
- 目的・試したこと・事実の3点を必ず入れる
- 聞ける相手を複数持つ
質問できるようになると、自分が有能になったわけではないのに、進む速度だけが変わります。それで十分です。