How to
前例主義の職場で、小さく変える進め方
提案したことがある。通らなかった。それ以来、何も出していない。
この経験を持つ人は多い。そして、そこから引き出す結論がたいてい同じです。「ここでは何も変わらない」。
ただ、通らなかった理由は案の質ではなく、案が大きすぎたことのほうが多い。他部署に影響が出る案は、その時点で決裁が必要になり、決裁が必要なものは止まりやすい。
1. 決裁が要らない範囲を探す
最初にやることは、案を考えることではありません。自分の判断だけで完結する範囲を数えることです。
意外と、あります。
- 掲示物、貼り紙、案内表示の文言と配置
- 自分が作っている資料の様式、並び順
- 説明の順番、口頭で伝える内容
- 自分の担当業務の手順(結果が変わらない範囲で)
- チーム内で使うメモやチェックリスト
これらは、承認を取らずに変えられます。変えて問題が出たら、戻せばいい。戻せる範囲が、最初の実験場です。
2. 月に1つだけにする
まとめて変えると、何が効いたか分からなくなります。反発も一度に来ます。
月に1つ。年間で12件、実際には8〜9件になります。それで十分です。
条件は1つだけ決めてください。自分の判断で完結すること。誰かの承認が要るものは、その月はやりません。
3. 月初に決める
ここが崩れどころです。
月末に振り返って「今月は何もしていない」と気づく形にすると、忙しい月から順に飛びます。そして2か月飛ぶと、やめた状態になります。
- 手帳やカレンダーの月初のページに、四角い枠を1つ書く
- その月に変えたことを、枠のなかに1行書く
- できなければ空欄のまま残す
空欄が2つ並ぶのは、思ったより気分が悪いものです。その居心地の悪さのほうが、意志より長持ちします。
4. 効果を測ろうとしない
最初のうちは、効果測定を目標にしないでください。
測ろうとすると、測れることしかやらなくなります。そして測定の準備で疲れて、実行しなくなります。
変えた事実だけ記録します。効果は、あとから誰かが気づきます。
5. 通したいものは、先に実物を作る
ここが、この方法の本当の効きどころです。
紙の上の案は、検討されて止まります。すでに動いている実物は、話が早い。
小さく変えたもののうち、いくつかは誰かの目に留まります。「これ分かりやすいね、他でも使える?」と言われたら、そこで初めて決裁の話になります。
そのとき提出するのは企画書ではなく、すでに使われている現物です。効果を疑われても、実際に動いているものがある。
順番が逆になっているだけで、通る確率が変わります。
やらないほうがいいこと
- いきなり制度を変えようとする。影響範囲が広いものは、実績を作ってから
- 変えたことを宣伝する。「私が変えました」と言うと、反対する理由が生まれます
- 他人のやり方を変えようとする。まず自分の担当範囲だけ
- 1回否決されて結論を出す。否決されたのは案ではなく、サイズです
まとめ
- 通らなかったのは、案が悪かったのではなく大きすぎたから
- 決裁が要らない範囲を先に数える
- 月に1つだけ。月初に決める
- 効果測定より、変えた記録を残す
- 通したいものは、実物を作ってから話す
1年で8つ変えても、たいてい誰も気づきません。1つ気づかれれば十分です。