How to
指示が通らないときに、伝え方を変える3手順
指示した通りにやってもらったのに、意図と違う。やり直しになる。相手を責める場所がないので、自分のなかにだけ「言ったつもりだったのに」が残る。
これは伝達ミスではありません。結論だけを渡して、理由を渡していないときに必ず起きます。
なぜ理由がないと崩れるのか
指示だけを受け取った人は、指示の通りに動きます。それは正確な仕事です。
問題は、現場で必ず起きる「指示に書かれていない状況」です。資材が届かない、寸法が違う、前工程が終わっていない。このとき、理由を知らない人は判断できません。判断できないので、指示のまま進めるか、手を止めて聞きに来るかの二択になります。
理由を知っている人は、三つ目の選択肢を持ちます。目的を守ったまま、やり方を変えられるからです。
つまり理由は、丁寧さのために付けるのではありません。想定外が起きたときの判断材料として渡します。
手順1: 全部に付けようとしない
すべての指示に理由を付けようとすると、二日で止まります。説明が増えて時間が足りなくなり、忙しい日から順に消えていきます。
1日に1つだけ選びます。基準は「間違えられたら、いちばん痛いもの」です。
朝の予定を見て、やり直しが発生したときに損失が大きい作業を1つだけ選ぶ。そこにだけ理由を付けます。30秒で終わります。
手順2: 理由は「その先」で言う
理由というと、背景や経緯を説明したくなります。長くなるうえに、たいてい伝わりません。
使うのは1つの型だけです。
この作業を先にやらないと、あとで何が起きるか
× 「点検口の位置が変更になりました」(事実の伝達)
○ 「点検口はここ。あとで足場が入ると、この位置に手が届かなくなる」(その先)
過去の経緯ではなく、これから起きることを言います。人は、自分の作業がどこにつながるかが見えると、勝手に前後を確認しはじめます。
手順3: 言う場所を固定する
いちばん崩れやすいのがここです。
理由を言う習慣は、忙しい日から消えます。そして忙しい日ほど、段取りが崩れていて、やり直しの損失が大きい。いちばん必要な日に、いちばん実行されないという構造になっています。
気合いでは解決しません。言う場所を物理的に作ります。
- 朝礼のホワイトボードに「なぜ」の欄を作る
- 作業指示書のテンプレートに1行足す
- チャットの定型文に項目として入れる
空欄があると、埋めたくなります。忙しい朝に思いつかないので、前の晩に決めるようになります。ここまで来ると習慣になります。
やってはいけないこと
理由を長くする
1文です。2文になったら、それは説明であって理由ではありません。朝礼で30秒を超えたら削ります。
「なぜなら」で説得しようとする
理由は、納得させるためではなく、判断材料として渡すものです。相手が納得しなくても、情報として持っていれば機能します。説得しようとすると押しつけになり、次から聞き流されます。
相手を試す
「なんでだと思う?」は、教育としては有効な場面もありますが、忙しい現場では相手の時間を奪うだけです。答えを先に言ってください。
相手から質問が返ってきたら
理由を言い始めると、しばらくして「それ、順番逆のほうがよくないか」と返ってくることがあります。
これは成功のサインです。相手が目的を共有した証拠なので、たいていの場合、現場に近い人の案のほうが正しい。
ここで自分の案を通すと、次から質問は来なくなります。採用してください。
まとめ
- 理由は丁寧さではなく、想定外が起きたときの判断材料として渡す
- 1日1つだけ。間違えられたら痛いものを選ぶ
- 経緯ではなく「このあと何が起きるか」を1文で言う
- 気合いではなく、空欄を作って仕組みで続ける
- 相手から代案が出たら、それは成功。採用する
手戻りはゼロにはなりません。ただ、同じ理由で二度起きることは減ります。