How to
提案が通らないときに、最初に確認すること
提案が通らない。理由がはっきりしないので、次はもっと調べ、もっと具体的にし、資料を厚くする。
32枚が38枚になり、42枚になる。通る確率は変わらない。
厚さが問題ではないからです。確認するのは1つだけです。
その提案書に、相手が言った言葉が入っているか
自分の提案書を開いて、探してください。
競合分析、ターゲットの再定義、施策案、想定効果。これらは全部、自分が調べたことです。
相手が打ち合わせで実際に口にした言葉が、1つも入っていないことがあります。そのときは、相手の課題への答えではなく、自分の案を相手の課題に見えるように包んだものを提出しています。
これは丁寧に作られていても通りません。
雑談を捨てない
本題の前に相手が話すことを、場を温めるための雑談だと思って聞き流していることがあります。
そこにいちばん重要な情報があることが多い。
「去年の予算組みが通らなくて、今年は説明できる企画じゃないと上げられない」
これを雑談として処理すると、相手が本当に困っていることを外します。この人が困っているのは施策の中身ではなく、上に説明できる形になっていないことです。
42枚の資料は、この人が役員会に持っていけません。「よくできてますね」は本心で、そのうえで使えない。
言葉をそのまま書き写す
要約しないでください。自分の言葉に直さないでください。
やること
打ち合わせのメモから、相手が実際に使った言い回しをそのまま抜き出し、提案書の1枚目に置く。そこから逆算して中身を作る。
× 「予算承認プロセスに課題がある」(自分の言葉に直している)
○ 「説明できる企画じゃないと上げられない」(相手の言葉のまま)
要約した瞬間に、相手の切実さが抜けます。抜けたものは、読み返しても戻りません。
この作業をすると、たいてい枚数が減ります。相手の困りごとに直接効かない資料が落ちるからです。
ひとりでは続かない
ここが実務上いちばんの壁です。
相手の言葉を書き写すには、打ち合わせ中にメモを取る必要があります。ところが、自分が話しているあいだはメモが取れません。話すことに集中すると、聞くほうが止まります。
解決策は、根性ではなく人数です。
- 同行者に「相手の言葉を拾う係」を明確に頼む
- 自分が話しているあいだ、相手の発言だけを書いてもらう
- 帰り道に照合する。自分の記憶と、実際の言葉を突き合わせる
ひとりでは続かなかったことが、二人だと続きます。若手にとっても、要約せずに聞く訓練になります。
すぐには通らない
この方法に変えても、翌週から通るようにはなりません。
2回続けて通らないと、自信をなくして元の厚い資料に戻したくなります。実際、戻す人が多い。
戻す前に、1つだけ確認してください。次の打ち合わせが設定されたかどうかです。
「検討します」で終わった回と、次回の日程が決まった回を分けて数えます。相手の言葉から作った提案は、通らなくても話が終わらないことが多い。
受注は遅れて出ます。先に出るのは、会話が続いているかどうかです。
通らなかったときに分かること
この方法の実利は、成約率より先に、敗因が分かることに出ます。
以前は「中身が弱かったのかもしれない」で終わっていました。相手の言葉を記録していると、どの言葉を拾い損ねたかが分かります。
分かると、次の打ち合わせで聞けます。
まとめ
- 通らない原因は厚さではない。相手の言葉が入っているかを確認する
- 本題前の雑談に、いちばん重要な情報があることが多い
- 要約せず、相手の言い回しのまま1枚目に置いて逆算する
- 話しながらは聞けない。拾う係を別に立てる
- 成約より先に「次回が設定されたか」で判断する
資料を厚くするのは、たいてい不安を減らすためです。減らすべき不安は自分のものではなく、相手のものです。