How to
感情の消耗を減らす、一行記録のつけ方
十分に寝ているのに、月曜の朝が重い。休日に昼まで寝ても戻らない。体力が落ちたのだと思って、そのままにしている。
体力が落ちたのなら、腕や腰に来ます。来ているのがそこではないなら、減っているのは体力ではないかもしれません。
人に気を遣う仕事では、一日にどれだけ気を遣ったかを誰も数えていません。数えていないので、減っている実感もない。実感がないまま、翌日また同じだけ使います。
やることは1つです。何に使ったかを、一行だけ記録します。
書き方
帰る前に、今日いちばん気を遣ったことを一行書きます。
一行の型
「何に・どれくらい・何をしていたか」を並べるだけです。
例:
家族対応・30分・言い方を選び続けた
板挟み・午後ずっと・両方に違う説明をした
面談・15分・言いたいことを飲み込んだ
評価は書きません。対策も書きません。原因分析もしません。
「つらかった」「しんどい」も書かなくていい。何に使ったかだけです。
なぜ評価や対策を書かないのか
書くと続かないからです。
対策まで書こうとすると、書くこと自体が仕事になります。疲れている日ほど手が止まり、疲れている日ほど記録が必要なのに残らない、という逆転が起きます。
目的は改善ではなく、可視化です。何に使ったかが分かるだけで十分に効果があります。
1〜2週間で傾向が出る
7行たまると、自分の消耗の中身が見えます。
介護や看護の人が書くと、体を使う介助はほとんど出てきません。出てくるのは家族対応や職員間の調整です。営業なら、商談より社内調整のほうが並びます。
体を使う仕事だと思っていたのに、消耗しているのはそこではなかった、という結果になることが多い。
これが分かると、扱い方が変わります。「今日は使い切ったから、家では何も決めない」という判断ができるようになります。夕飯を作らない日を、罪悪感なしに選べるようになります。
いちばん崩れやすいところ
書かなくなる日は、忙しい日ではありません。いちばんしんどかった日です。
思い返したくないので、書かずに帰ります。そして、いちばん記録すべき日のデータが抜けます。
対策は、書く場所を変えることです。
- 手帳をやめる。開かないと書けないものは、しんどい日に開かない
- ロッカーの扉の内側に付箋を貼る。ペンも一緒に留めておく
- 着替えるときに必ず目に入る位置に置く
手帳は「開く」という判断が要ります。付箋は目の前にあります。その差だけで、続く確率が変わります。
何もなかった日も一行書いてください。「今日は何もなかった」でいい。書かない日を作らないほうが続きます。
3か月たったら数える
種類ごとに数えます。家族対応が42、職員間の調整が28、というふうに。
ここで初めて、記録が交渉の材料になります。
「疲れています」は主観なので、通りません。「この3か月で家族対応が42件あり、全部主任が一次窓口です」は事実なので、体制の話にできます。
すぐには変わりません。半年かかることもあります。ただ、数字がないと話が始まりません。
この方法で解決しないこと
記録は、消耗そのものを減らしません。何に消耗しているかが分かるだけです。
そして、次のような状態は記録では解決しません。
- 眠れない日が続いている
- 食欲がない状態が2週間以上続いている
- これまで楽しめたことが何も楽しめない
- 朝、体が動かない
この場合は、記録より先に医療機関に相談してください。産業医、かかりつけ医、自治体の相談窓口でかまいません。このページは、そこの代わりにはなりません。
まとめ
- 寝ても戻らないなら、減っているのは体力ではないかもしれない
- 帰る前に「何に・どれくらい・何をしていたか」を一行だけ書く
- 評価も対策も書かない。目的は改善ではなく可視化
- しんどい日ほど書かなくなるので、開かずに書ける場所に置く
- 3か月たったら種類ごとに数える。そこで初めて交渉の材料になる
疲れが消えるわけではありません。ただ、なぜ座り込んでいるのかが分かると、少しだけ扱いやすくなります。