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MBAの中身を、通わずに知りたいときに読む本

学び直し 9分で読めます

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会議で出てくる言葉が分からない。差別化、参入障壁、キャッシュフロー、事業ポートフォリオ。

意味は調べれば分かります。ただ、単語を個別に覚えても、議論には入れません。足りないのは用語ではなく、それらがどう噛み合っているかの地図だからです。

MBAに通うかどうかの前に、この地図だけ手に入れる方法があります。

先に、通う価値について

正直に書きます。MBAの価値のうち、本で代替できる部分とできない部分があります。

「知識がほしい」なら本で足ります。「人脈と肩書きがほしい」なら本では代わりになりません。ここを分けずに本を買うと、読み終えても満たされないままになります。

1冊目に置くなら

楠木建(東洋経済新報社)

ストーリーとしての競争戦略

こんな夜に。フレームワークを覚えたのに、自社の戦略を説明できないとき。分析はできるのに、結局どうするかが出てこないとき。

優れた戦略は個別の施策の集合ではなく、因果がつながった一本の物語になっている、という主張の本です。フレームワークを埋める作業と、戦略を立てることの違いがはっきりします。事例が具体的で、なぜその打ち手が効いたのかを順を追って説明するので、読み物としても成立しています。

合わないかもしれない人:500ページ超あり、語り口はかなり饒舌です。要点だけ短く知りたい人には向きません。

用語と枠組みをまとめて入れるなら

グロービス経営大学院

グロービスMBAクリティカル・シンキング

こんな夜に。議論がかみ合わない原因が、自分の話の組み立てにある気がするとき。

MBAの科目としての思考法を、演習付きで扱うシリーズです。イシューを立てる、論点を分ける、because を検証する、といった基本が体系的にまとまっています。シリーズなので、財務、マーケティング、組織と、必要な科目だけ買い足せるのが実用的です。

合わないかもしれない人:教科書なので、通読すると眠くなります。演習をやらずに読むだけだと、あまり身につきません。

三谷宏治

経営戦略全史

こんな夜に。フレームワークの名前は聞くが、いつ誰が何のために作ったのか知らないとき。

経営戦略論の100年を、人物と時代の流れで追った本です。SWOTもファイブフォースも、それが必要とされた時代背景とセットで理解できます。個々の理論の限界も見えるので、フレームワークを万能だと思い込まずに済みます。

合わないかもしれない人:網羅的なぶん、1つ1つの理論の解説は浅めです。実務にそのまま使う道具は、別の本で補う必要があります。

この分野への批判も、先に読んでおく

分析と論理だけで意思決定できるという前提には、まっとうな批判があります。両方読んでおくと、フレームワークの使いどころを間違えにくくなります。

山口周

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

こんな夜に。論理的に正しい結論が、なぜか誰の心も動かさないと感じたとき。分析の精度を上げても差がつかなくなったとき。

論理と分析だけで戦うと全員が同じ結論に行き着く、という指摘から始まります。サイエンス偏重の意思決定の限界と、それを補うものについて書かれています。MBA的な思考の外側を示す本なので、上の3冊と一緒に読むとバランスが取れます。

合わないかもしれない人:美意識という言葉が曖昧なまま進む部分があります。具体的な手順を求める人には物足りません。

読む順番

  1. ストーリーとしての競争戦略。戦略とは何かの感覚を入れる
  2. 経営戦略全史。フレームワークの地図を持つ
  3. グロービスMBAシリーズ。必要な科目だけ、演習しながら
  4. 美意識。上の3冊の限界を知る

逆に、いきなり教科書から入ると挫折します。何のための道具かが分からないまま、道具の使い方を覚えることになるからです。

読んだあとにやること

フレームワークを覚えた人が最初にやりがちなのは、自社を分析して問題点を並べることです。それ自体は正しいのですが、資料にして提出しても、たいてい何も起きません。

先に、自分の担当範囲で1つだけ試してください。範囲が小さいほど、実行できて、結果が測れます。