How to
ボトルネックの見つけ方と、直す場所を1か所に絞る理由
全員に「もっと速く」と言って回る。各自は確かに速くなる。全体の納期は変わらない。
これは努力不足ではありません。全体の速さは、いちばん遅い1か所で決まっているからです。そこ以外をいくら速くしても、その手前に物や仕事が溜まるだけになります。
製造の話に聞こえますが、書類の承認、開発、採用、経理の締めでも同じことが起きます。
手順1: 溜まっている場所を探す
いちばん遅い場所は、探さなくても見つかります。その手前に、必ず何かが積み上がっているからです。
- 工場なら、仕掛品のパレットが増えている工程の直前
- 事務なら、決裁待ちが溜まっている人の手前
- 開発なら、レビュー待ちのタスクが並んでいるところ
- 採用なら、面接の日程が取れずに止まっている段階
「あの人はいつも忙しそう」と全員が言う場所が、だいたいそこです。
手順2: 数を並べて確認する
感覚で決めず、1日あたりの処理数を工程ごとに並べます。ここは1時間もあれば出ます。
並べたとき、次の2つを確認してください。
- 明らかに数が少ない工程が1つあるか
- 全体の出力(出荷数、完了件数)が、その数とほぼ同じか
2が一致していれば、確定です。その工程が全体の上限を決めています。
手順3: そこを止めない
設備投資や増員の前に、やることがあります。その工程が止まっている時間をなくすことです。
- 昼休みや休憩で止まっていないか。交代で回せないか
- 次にやる分が手元にそろっているか。取りに行く時間が発生していないか
- その工程の人が、本来やらなくていい作業をしていないか
- 不良品がそこに流れてきていないか。手前で弾けないか
制約になっている場所の1時間は、全体の1時間です。他の工程の1時間とは価値が違います。ここに人と道具を寄せてください。
手順4: 残りは、あえて遊ばせる
ここがいちばん心理的にきついところです。
制約が1日180しか処理できないなら、その手前の工程が260作っても意味がありません。作った80は製品ではなく在庫になり、置き場と管理の手間を増やします。
だから、手前の工程は意図的に手を空けます。
そして必ず、こう言われます。
あそこ、遊んでるじゃないか。稼働率が落ちてる。
手順5: 測る指標を先に変えておく
手順4で潰されないために、これは手順3と同時にやってください。順番を間違えると、3週間で元に戻ります。
工程別の稼働率を主指標にしている限り、全員が自分の工程を回そうとします。それが在庫を作ります。
- 報告資料の1枚目を、出荷数・完了件数・納期遵守率にする
- 工程別の稼働率は、後ろのページに移す
- 制約工程の日々の処理数を、現場に貼り出す。手書きでいい
数字が見える場所にあると、現場のほうから気づきはじめます。上を説得するより、こちらのほうが早いことが多いです。
制約は動く
制約工程を改善すると、そこはもう制約ではなくなります。すると別の場所が新しい制約になります。
これは失敗ではなく、正常な進み方です。終わりがないように見えますが、毎回1か所だけ見ればいいので、全体を同時に改善しようとするより負荷は軽くなります。
まとめ
- 全体の速さは、いちばん遅い1か所で決まる
- そこは、手前に物や仕事が溜まっている場所にある
- 投資の前に、その工程が止まっている時間をなくす
- 手前の工程は、あえて遊ばせる
- その前に、測る指標を稼働率から出荷数に変えておく
直す場所は1か所です。それ以外を我慢することが、実務ではいちばん難しい部分になります。