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制約理論(TOC)とトヨタ生産方式、どちらから読むか
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各部署が頑張っているのに、全体としては遅い。
この現象には名前が付いていて、扱い方も確立しています。ただ、その入口が製造業の言葉で書かれているせいで、事務職や開発職の人が素通りしていることが多い。
どちらも、速くする場所を1つに絞る話です。工場の本として読むと損をします。
本を読む前に、1つ数える
自分の職場で、何かが溜まっている場所を1つ挙げてください。
決裁待ちの書類、レビュー待ちのタスク、返信待ちのメール、面接日程が取れずに止まっている候補者。その溜まりの直前にいる人か工程が、たいてい全体の速さを決めています。
これを1つ持ってから読むと、本の内容が自分の職場に接続されます。
物語で理解するなら
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
こんな夜に。理屈の本が頭に入らないとき。改善しているのに数字が良くならない理由を知りたいとき。
3か月で閉鎖を通告された工場の所長が、立て直していく小説です。制約理論(TOC)の入門書ですが、専門用語の解説から入らず、物語のなかで必要になった順に概念が出てきます。ボトルネックが全体の出力を決めること、部分最適が全体を悪化させることが、読み終わるころには実感として残ります。
合わないかもしれない人:500ページ超で、前半は工場の描写が続きます。結論だけ先に知りたい人には長い。その場合はコミック版もあります。
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ザ・ゴール2 思考プロセス
こんな夜に。1作目を読んで、製造以外にどう応用するか分からなかったとき。
前作の主人公が、工場ではなく事業全体の問題に取り組みます。何を変えるか、何に変えるか、どうやって変えるかを順に詰めていく思考の手順が主題なので、製造業以外の人にはこちらのほうが直接効きます。
合わないかもしれない人:1作目を読んでいないと、登場人物と前提が分かりません。順番に読んでください。
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日本の現場から生まれた側
トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして
こんな夜に。カイゼンやジャストインタイムという言葉を、社内で聞くが説明できないとき。改善活動が形骸化していると感じるとき。
トヨタ生産方式を体系化した本人が書いた本です。必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る。この原則がなぜ必要だったのかが、後付けの理論ではなく現場の判断として語られます。作りすぎのムダを最大のムダとする考え方は、在庫を持たない職種にもそのまま当てはまります。
合わないかもしれない人:1978年の本で、文章は硬めです。事例は自動車製造なので、自分の職種に翻訳しながら読む必要があります。
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ジャストインタイム ― トヨタ生産方式海を渡る
こんな夜に。ジャストインタイムを、精神論ではなく仕組みとして理解したいとき。海外拠点や協力会社に展開する立場にいるとき。
研究者の立場から、ジャストインタイムがどう成立し、どう海外へ移されたかを扱った本です。かんばん、平準化、段取り時間の短縮といった要素が、どう噛み合って初めて機能するかが整理されています。部分だけ真似ても効かない理由が分かります。
合わないかもしれない人:学術寄りの記述が多く、読み物としては硬いです。まず大野耐一の本を読んでからのほうが入りやすい。
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2つの違い
どちらも「全体の流れを良くする」ことを目指しますが、力点が違います。
- TOC(ザ・ゴール)は、制約を1か所特定して、そこに集中します。どこを見るかを決める技術です
- トヨタ生産方式は、ムダを見つけて減らし続けます。流れそのものを整える技術です
順番としては、ザ・ゴールで「1か所に絞る」感覚を掴んでから、トヨタ生産方式で「何をムダと呼ぶか」を入れると混乱しません。逆から入ると、改善項目が増えすぎて手が止まります。
持ち帰るときの注意
この分野の本を読んだ人が、職場でやりがちな失敗があります。
- 用語から入る。「これがボトルネックです」と言い出すと、名指しされた人が身構えます。数字を見せるほうが早い
- 全工程を同時に改善しようとする。本にそう書いていないのに、なぜかそうなります
- 稼働率を測り続ける。指標を変えないまま手法だけ入れると、必ず元に戻ります
読んだ翌週に変えるなら、指標を1つだけです。