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仕組みで勝つ会社は、何をしているのか
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自分にしかできない仕事が、少しずつ増えている。
最初は評価されている気がします。あの案件はあの人しか回せない、と言われるのは悪い気分ではありません。ただ数年たつと、休めない、動けない、抜けられない、という形で返ってきます。
個人の努力量で埋めてきた穴を、仕組みで埋めている会社があります。ここでは、その代表格を扱った本を並べます。
本を読む前に、自分の職場で確認できること
属人化は、能力の高い人がいる職場ほど進みます。できる人が引き受けてしまうので、仕組みを作る必要が生まれないからです。
- その仕事の手順は、どこかに書かれているか。頭の中にしかないなら、それは仕組みではなく記憶です
- 判断の基準は共有されているか。手順が書いてあっても、迷ったときの基準がなければ他の人は動けません
- あなたが休んだ日、その仕事は止まるか。止まるなら、評価されているのではなく、依存されています
この3つを埋めるだけで、本を読まずに解決することもあります。以下は、それでも足りないと感じたときの話です。
ソフトウェアテストの会社が、人的資本経営で伸びた話
SHIFT解剖 究極の人的資本経営
こんな夜に。自社の人材育成が、結局は本人の資質頼みになっていると感じるとき。優秀な人を採れないと嘆く上司の下にいるとき。
ソフトウェアテストのSHIFTが、突出した個人ではなく大多数の底上げで伸びてきた過程を、日経ビジネスの記者が取材してまとめた本です。仕事を分解し、見えるようにし、仕組みに落とすという順番が具体的に書かれています。特殊な才能を前提にしない設計なので、自分の職場に置き換えて読めます。
合わないかもしれない人:1社の事例研究なので、汎用的なフレームワークを求める人には物足りません。また、書かれている割り切りが強く感じられることがあります。
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この本を読むと、もう1社が気になります。
SHIFTの取締役会長は、キーエンスの元社長である佐々木道夫氏です。2018年に社外取締役として関わりはじめ、2020年に副社長、2024年11月から会長に就任しています。まったく別の業種の会社が、なぜつながったのか。読み比べると、その理由が見えてきます。
営業利益率50%超の会社は、何を売っているのか
キーエンス解剖 最強企業のメカニズム
こんな夜に。自社の商品が値下げでしか売れないとき。営業として、値段以外の話ができなくなっているとき。
外からは見えにくいキーエンスの仕組みを、記者が取材で解いた本です。顧客のところへ行って課題を聞き出す仕組み、その情報を商品開発に戻す仕組み、人を育てる仕組みが、精神論ではなく手順として書かれています。営業の会話の設計が変わります。
合わないかもしれない人:同じことを自社でやろうとすると、たいてい制度だけ真似て失敗します。仕組みの背後にある考え方のほうを読んでください。
Amazonで探す 平日夜30分×1週間ほど
付加価値のつくりかた
こんな夜に。自分の仕事が、誰にでもできる作業に見えてきたとき。忙しいのに利益に貢献している実感がないとき。
キーエンス出身の著者が、付加価値とは何かを分解した本です。顧客が本当に困っていることをどう見つけるか、そこにどう値段をつけるかを、個人の仕事のレベルまで落として書いています。上の2冊が会社の話なのに対し、これは自分の仕事に直接効きます。
合わないかもしれない人:取り上げられる例が法人営業寄りです。事務や技術職の人は、考え方を自分の職種に翻訳しながら読む必要があります。
Amazonで探す 256ページ。数日で読めます
儲ける社長のPDCAのまわし方
こんな夜に。社内でPDCAという言葉だけが飛び交って、実際には何も回っていないとき。計画を立てるところで力尽きているとき。
計画の精度を上げるより、速く回して直すことに比重を置いた本です。立派な計画を作ってから動く進め方を明確に否定しています。中小企業の実務から書かれているので、抽象論になりません。上の3冊が仕組みの設計図なら、これは回し方の話です。
合わないかもしれない人:精神論に見える箇所があります。また、経営者の視点で書かれているので、決裁権のない立場ではそのまま実行できない部分があります。
読む順番
3冊とも読むなら、この順番が入りやすいはずです。
- 付加価値のつくりかた。自分の仕事の話から入る
- キーエンス解剖。それを会社の規模でやるとどうなるかを見る
- SHIFT解剖。まったく違う業種で同じ思想がどう機能したかを見る
逆に、いきなり会社の事例から入ると「うちとは規模が違う」で終わりがちです。
この3冊を読んで、やってはいけないこと
読んだ翌週に、自社の制度を批判しはじめることです。
仕組みの本を読むと、自分の職場の粗が急に見えるようになります。ただ、外から見える仕組みは結果であって、そこに至る過程は本には全部書かれていません。制度だけ切り取って持ち込むと、たいてい現場が混乱して終わります。
持ち帰るなら、自分の担当範囲で1つだけです。手順を書き出す、判断基準を1行決める、そのくらいから始めたほうが定着します。