Books

転職を迷っているときに読む本

キャリア 8分で読めます

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転職サイトを開いて、いくつか眺めて、何も応募せずに閉じる。その夜が月に何度かある。

この状態がいちばん消耗します。動いていないのに、考え続けているからです。

本を買う前に、紙に書き出すこと

辞めたい理由と、辞めるべき理由は別物です。混ざったまま考えていると、いつまでも結論が出ません。

先に6項目だけ書き出してください。所要15分です。

  1. いま辞めたい理由を、思いつくまま全部
  2. そのうち、転職しても付いてくるもの(自分の癖、業界共通の慣習)
  3. そのうち、この会社を出れば消えるもの(特定の上司、特定の制度)
  4. いまの仕事で、続けていれば身につくもの
  5. 3年後にどうなっていたら、辞めなくてよかったと思えるか
  6. いくらもらえれば、あと2年は我慢できるか

2に多くが集まるなら、転職しても同じことが起きます。3に集まるなら、環境の問題なので出る価値があります。この切り分けができていない段階で本を読むと、読んだ本の主張にそのまま流されます。

切り分けの型がほしいなら

北野唯我(ダイヤモンド社・2018年)

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

こんな夜に。辞めるかどうかではなく、何を基準に決めればいいかが分からないとき。転職エージェントに会う前に、自分の軸を持っておきたいとき。

物語形式で、market valueという考え方を軸に判断の基準を組み立てていきます。技術資産・人的資産・業界の生産性という切り口は、いまの会社に留まる判断にも使えます。転職を勧める本ではなく、判断の道具を渡す本です。

合わないかもしれない人:物語形式なので、結論だけ知りたい人には遠回りに感じられます。また、専門性を築きにくい職種の人には、当てはめにくい部分があります。

自分が何をしたいのか分からないなら

転職したい理由が「いまがつらいから」しかないとき、求人票を見ても選べません。判断の材料が足りないのではなく、自分側の基準がないからです。

森岡毅

苦しかったときの話をしようか

こんな夜に。やりたいことが分からないまま年数だけ過ぎたとき。子どもの進路を考えていて、自分のときはどうだったかを思い出したとき。

著者が就職活動を控えた自分の子に向けて書いた文章がもとになっています。自分の強みを見つける手順が具体的で、キャリアを「どこで戦うか」の問題として扱います。感情に寄り添う部分と、冷静に構造を説明する部分の両方があります。

合わないかもしれない人:強みを見つけて活かすという前提が合わない人もいます。いま消耗しきっている段階なら、先に休むほうが先です。

リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット

LIFE SHIFT ライフ・シフト

こんな夜に。40代、50代で、この先まだ20年以上働くという事実を前にしたとき。定年までの逃げ切りが成立しないと気づいたとき。

長寿化によって、教育・仕事・引退という3ステージの人生設計が成り立たなくなるという前提から始まります。転職そのものより、働く期間全体をどう組み直すかの話です。いまの決断を、点ではなく線で考えられるようになります。

合わないかもしれない人:分厚く、抽象度が高めです。今月中に決めたいことがある人には遠すぎます。

スペンサー・ジョンソン(扶桑社)

チーズはどこへ消えた?

こんな夜に。環境が変わったのに、前と同じやり方を続けている自覚があるとき。異動や制度変更に納得できないまま時間が過ぎているとき。

迷路のなかのネズミと小人の寓話です。90ページほどで、1時間かかりません。変化そのものより、変化を認めるまでにかかる時間が損失になる、という一点だけを扱います。短いので、迷っている時期に何度でも読み返せます。

合わないかもしれない人:寓話なので具体策はありません。また、会社が従業員に配る本としても有名で、そう使われた経験がある人は反発が先に立ちます。その場合は無理に読まなくて大丈夫です。

本田健(きずな出版)

30代にとって大切な17のこと

こんな夜に。30代で、この先の20年をどう組み立てるか考えはじめたとき。同期との差が見えてきたとき。

短い項目が17並ぶ構成です。答えを与えるというより、いまのうちに考えておく論点を出してくる本です。1項目ずつ独立しているので、疲れている日でも1つだけ読めます。

合わないかもしれない人:抽象度が高く、具体的な手順は書かれていません。今月中に決めたいことがある人には遠すぎます。

本田健(きずな出版)

40代にとって大切な17のこと

こんな夜に。40代に入って、折り返し地点に来た実感があるとき。残り時間を意識しはじめたとき。

30代版と同じ構成で、扱う論点が変わります。上へ行くのか、専門でいくのか、家庭や体力とどう折り合うのか。40代特有の判断が並びます。40代の転職を考えているなら、動く前に一度目を通しておくと基準が整理されます。

合わないかもしれない人:30代版と重なる部分もあります。両方買う必要はなく、いまの年代のほうだけで足ります。

辞めるかどうかの前に、疲れを疑う

転職を考えはじめる時期は、消耗している時期と重なります。疲れているときの判断は、環境のせいに寄りやすくなります。

そして疲れているときに転職活動を始めると、面接で自分を売り込む体力がないので、条件の悪いところしか通りません。それで自己評価がさらに下がります。

まず休めるなら、休んでから決めたほうが選択肢が増えます。

この状況で気をつけること

創業者の本や、成功したビジネスパーソンの本を読んだ直後に決めないでください。読了直後は判断が大きく振れます。

1週間おいて、まだ同じ気持ちなら動く。それくらいの間隔が、あとで理由を説明できる決め方になります。