通信会社の主任が、読んだ本を、一枚の構造にたたんだ話
読んだ本は、増えた。使える知識は、増えなかった。ノートの取り方を、変えた。
読むStory
主任の黒田は、簿記の入門書を、買った。
帰りの電車で、二ページ、読んだ。
数字を、自分で見られるようになりたかった。月次の、原価の資料が、読めないと、会議で、置いていかれる。
ただ、会社には、言わないつもりだった。
勉強を、していることを、知られるのが、少し、恥ずかしかった。
一か月、独学を、続けた。
試験の日が、近づくにつれて、悩みが、増えた。試験前の日は、定時で、帰りたい。だが、繁忙期の、真っ只中だった。
上司の、鈴木に、言うべきか。
黒田は、迷って、手帳に、書いた。
何を、学ぶか。いつ、使うか。仕事に、どう、還元するか。
三つが、はっきりした。
その日の午後、黒田は、鈴木の席を、訪ねた。
「少し、お時間、よろしいですか」
「どうした」
「来月から、簿記の勉強を、始めています」
鈴木は、少し、驚いた顔を、した。
「簿記か。仕事で、使うのか」
「月次の原価の資料を、自分で、読めるようになりたいんです。使うのは、平日の夜と、休日だけです。仕事の時間は、使いません」
鈴木は、頷いた。
「試験は、いつだ」
「三月の、第二日曜です。その前の週に、一日だけ、定時で帰れる日が、あると助かります」
鈴木は、少し、考えてから、言った。
「会社に、資格取得の、補助制度が、あったはずだ。人事に、確認してみろ」
黒田は、驚いた。
「補助が、あるんですか」
「申し込む前に、確認しないと、使えなくなる、制度だ」
黒田は、すぐに、人事に、問い合わせた。
受験料と、教材費の、一部が、補助される。事前の申請が、条件だった。
三月、黒田は、無事、試験を、受けた。
結果は、合格だった。
鈴木が、朝礼で、短く、言った。
「黒田が、簿記を、取った。月次の、原価の資料を、これから、手伝ってもらう」
黒田は、少し、照れた。
勉強を、仕事で、使う場所が、先に、できていた。
その夜、黒田は、手帳に、書いた。
黙って学ぶより、先に伝える。時間も、費用も、場所も、返ってくる。
四月、黒田は、月次の原価資料を、作り始めた。
数字の意味が、分かった。
会議で、置いていかれることは、なくなった。
あの日、鈴木に、伝えて、よかった。
黒田は、そう、思った。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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読んだ本は、増えた。使える知識は、増えなかった。ノートの取り方を、変えた。
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