物流会社の主任が、簿記の勉強を、先に上司へ伝えた話
黙って始めるつもりだった。伝えたら、試験前の定時退社と、補助の情報が、返ってきた。
読むStory
主任の永井は、本棚の、前に、立っていた。
ここ二年で、仕事の本を、三十冊、読んだ。
だが、仕事で、使えている気が、しなかった。
どの本も、面白かった。ただ、読んだ後、頭に、残っていない。
ノートは、取っていた。本の言葉を、そのまま、写していた。
ある日、先輩の、中野が、言った。
「写すだけでは、整理にならないよ」
「では、どうすれば」
「分けて、つないで、名前をつける。一枚に畳む」
永井は、首を、かしげた。
「やってみろ。一冊だけでいい」
その週末、永井は、読み終えた一冊を、開いた。
チームの、会議の改善、についての本だった。
まず、具体例を、三つ、集めた。
本の事例が、二つ。自分の職場の、出来事が、一つ。
次に、共通点を、探した。
三つの例は、どれも、目的を最初に確認していた。
一文にした。会議は、目的を先に決めると、短くなる。
最後に、別の場面で、試す方法を、考えた。
来週の定例会議で、最初に、目的を、書いてみる。
一枚に、畳んだ。
上に、テーマ。左に、具体例が、三つ。真ん中に、共通点が、一文。右に、来週、試すこと。
書き終えて、見ると、思ったよりも、すっきりしていた。
三十ページ分の、本の内容が、一枚に、収まった。
翌週、定例会議。
永井は、冒頭で、言った。
「今日の会議の目的は、来期の予算の、方向を決めることです。最初に、それを、確認させてください」
参加者が、頷いた。
会議は、予定より、十分、早く、終わった。
終わったあと、中野が、聞いた。
「どうだった」
「一枚に畳んだことが、頭に、残っていました」
「結果は」
「十分、短くなりました。型は、効きました」
永井は、ノートに、書き足した。
結果。十分短縮。次は、会議の議事録でも、試す。
二か月後、永井は、五冊分を、一枚ずつ、畳んでいた。
三十冊は、まだ、頭に、残っていない。
だが、五枚は、頭にも、仕事にも、残っていた。
手帳に、書いた。
量より、畳む。例を集め、型にして、試す。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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黙って始めるつもりだった。伝えたら、試験前の定時退社と、補助の情報が、返ってきた。
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