リフォーム会社の営業が、見積もりの残りをスタンプカードにした話
二十件、と思うと、最初の一件で手が止まる。
読むStory
係長の古川は、駅の事務室で、帳簿を、閉じた。
十五年、同じような仕事を、している。
忙しい。だが、成長している気が、しなかった。
後輩の方が、新しい仕組みを、覚えるのが、早い。自分は、慣れた仕事を、こなしているだけだ。
そう思うと、胸が、少し、重かった。
週末、古川は、パソコンの、フォルダを、開いた。
半年前の、資料。先月の、資料。
並べて、見た。
半年前の資料は、数字が、並んでいた。理由は、書かれていない。
先月の資料には、最初に、結論の一行が、あった。
古川は、手を止めた。
いつの間にか、変わっていた。
その夜、古川は、四つの軸で、書き出した。
抽象度。作業の指示から、目的を考えるようになった。先月、後輩に、「この表は、何のためか」と聞いた。
解像度。終わりの形を、事前に描く。会議の資料は、部長が何を決めるかを、先に書いている。
再現性。うまくいった理由を、言葉にしている。先月の遅延対応は、事前の連絡の手順が、効いたと、説明できる。
影響範囲。自分の資料が、課の全員に、使われている。
四つとも、半年前より、変わっていた。
翌週、古川は、上司の、鈴木に、聞いた。
「半年前と比べて、私の変わった点は、ありますか」
鈴木は、少し、考えた。
「資料の、読みやすさ、だな。最初に結論があるから、会議が、早く終わる」
古川は、メモを、取った。
「あと、後輩への、質問の仕方が、変わった。作業を聞くのではなく、目的を聞いている」
古川は、驚いた。
自分では、気づいていなかった。
一か月後、古川は、成果物を、一つ、保存した。
他者の反応を、一つ、書いた。
月に一度、四つの軸を、一行ずつ、書く習慣を、始めた。
後輩の、新しい仕組みの、覚えの早さが、気になる日も、ある。
それでも、胸の重さは、前よりも、軽かった。
手帳に、書いた。
成長は、量ではなく、質に、出る。
その横に、足した。
自分だけで、判断しない。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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