化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読むStory
課長の吉岡は、部下の関口に、頼んでいた。
「取引先の、状況を、整理しておいて」
一週間後、関口が、持ってきたのは、取引先の情報を、全部、並べたファイルだった。
百行以上あった。
「整理は」
「はい。情報は、全部、入れました」
吉岡は、ため息を、飲み込んだ。
作業は、よくやる。ただ、整理は、出てこない。
同じことが、三度、続いた。
その夜、吉岡は、考えた。
自分は、何を頼んだのか。
整理しておいて。それだけだった。どんな形で。何のために。何を判断するために。
自分でも、決まっていなかった。
関口が、悪いのではない。頼み方が、悪い。
翌週、吉岡は、頼み直した。
「来月の、取引先との会議で、方針を決めたい。そのために、状況を、一枚の図で、見たい」
関口は、メモを取った。
「三つに、分けてほしい。取引の規模、関係の深さ、今後の見込み。それぞれ、取引先を、並べる」
関口は、顔を上げた。
「並べる、と言うのは」
「前に、別の案件で作った図が、ある。見るか」
吉岡は、昔の資料を、見せた。三つの軸で、取引先が、並んでいた。
関口は、じっと、見た。
「これなら、分かります」
三日後、関口が、一枚の図を、持ってきた。
十社の取引先が、三つの軸で、整理されていた。
吉岡は、図を、じっくり、見た。
「いい。この三社が、関係は深いが、規模が小さい。ここを、どうするかが、会議の論点だな」
関口は、小さく、頷いた。
「実は、この三社が、気になっていました。でも、どう言えばいいのか、分からなくて」
吉岡は、驚いた。
整理を、すれば、関口の中に、考えがあった。
会議で、図を、使った。
部長が、聞いた。
「この図は、誰が作った」
「関口です」
部長が、関口を見て、言った。
「状況が、すぐ、分かった」
関口は、少し、照れた。
会議のあと、吉岡は、関口に、言った。
「あの図で、論点が、決まった。助かった」
「次も、整理を、やってみたいです」
吉岡は、手帳に、書いた。
整理は、形で頼む。型を見せる。結果を、評価する。
その横に、足した。
頼み方が、先。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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人間関係の話を先に並べています。
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