悩みのテーマ 部下の育て方・指示の出し方 関連 成長実感・抽象度・ゴールの解像度

Story

建設コンサルの部長が、抽象度を一段ずつ上げて、部下に仕事を渡した話

建設コンサルタント 部長・50代前半 人間関係

部長の三宅は、二つの部下に、違う渡し方を、していた。

現場の若手には、具体的に。この図面の、この部分を、この様式で、直す。

直近の部下の、課長の柴田には、抽象的に。

「来期の、業務の進め方を、考えておいて」

若手は、期待通りに、動いた。

柴田は、一週間後、作業の一覧を、持ってきた。

「業務の進め方、ですが、まず、現在の作業を、洗い出しました」

三宅は、首をかしげた。

欲しかったのは、洗い出しではなかった。


その夜、三宅は、自分の頼み方を、振り返った。

考えておいて。それだけ、だった。

目的は。制約は。どんな形で、返してほしいのか。

何も、伝えていない。

柴田が、作業の一覧を、出したのは、当然だった。分かる範囲の、ことをやったのだ。


翌日、三宅は、柴田を、呼んだ。

「先日の件を、頼み直したい」

柴田は、少し、身構えた。

「来期の、残業を、二割、減らしたい。そのための案を、三つ、一枚で、出してほしい。費用は、十万円以内。来月十日まで。各案の効果と手間を、並べてほしい」

柴田は、急いで、メモを取った。

「効果と手間を、並べる、ですか」

「そう。それを見て、私が、決める」

柴田の表情が、変わった。

「分かりました。これなら、動けます」


三割の時点で、三宅は、声をかけた。

「今、どんな視点で、考えている」

柴田は、ノートを、見せた。

「人手の配分、会議の削減、書類の電子化の、三つです」

「会議の削減は、効きそうだな。具体的に、どこを」

「定例会議を、三つ、まとめられると思います」

三宅は、頷いた。方向は、合っていた。


来月十日、柴田は、一枚の資料を、持ってきた。

三つの案。効果と手間が、並んでいた。

三宅は、会議の削減の案を、選んだ。

柴田が、小さく、息を、吐いた。

「ありがとうございます。考えるのが、楽しかったです」

三宅は、少し、驚いた。

「前回は、すまなかった。頼み方が、悪かった」

柴田は、笑った。

「次は、目的から、一緒に考えたいです」

三宅は、手帳に、書いた。

抽象度は、一段ずつ、上げる。目的、制約、形を、渡す。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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