不動産仲介の課長が、迷う部下に「二択と期限」で聞いた話
「どうする」と聞くたびに、部下は、考え込んで、動かなかった。
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保育園の園長、松尾は、保育士の、河合に、声を、かけた。
「最近、どう」
「大丈夫です」
河合は、いつも、笑って、答えた。
笑っては、いた。ただ、その笑顔が、少し、疲れて、見えた。
松尾は、もう一度、聞こうとして、やめた。
また、「大丈夫です」が、返ってくる気がした。
その夜、松尾は、昔の、研修ノートを、開いた。
スケーリング質問、という言葉が、あった。
気持ちを、言葉にするのが、苦手な人には、数字で、答えてもらう。
松尾は、試してみることに、した。
翌日、河合を、事務室に、呼んだ。
「今の、仕事の手応えは、十点満点で、何点くらいかな」
河合は、少し、驚いた顔を、した。
「そうですね。四点、くらいでしょうか」
松尾は、その点数を、そのまま、受け取った。
「四点か。ゼロ点じゃ、ない理由を、聞かせてほしい」
河合は、少し、考えた。
「子どもたちが、笑いかけて、くれるので」
「そうか。それは、大きいな」
松尾は、頷いた。
「五点に、なるとしたら、何が、変わっているだろう」
河合は、しばらく、黙った。
「書類の、時間が、減ったら」
初めて、本音が、出た。
松尾は、メモを、取った。
連絡帳の、書き方が、毎日、負担になっていること。夕方の、事務作業で、子どもと、向き合う時間が、減っていること。
「それは、大変だったな。気づかなくて、すまない」
「いえ」
「今週、できそうなことは、あるかな」
河合は、少し、考えた。
「連絡帳の、書式を、短くしても、いいでしょうか」
「いい。試そう」
二週間後、連絡帳は、半分の、長さに、なった。
松尾は、もう一度、聞いた。
「今は、何点だろう」
河合は、笑った。
「六点、です」
松尾は、手帳に、書いた。
言葉で、答えにくい人には、数字で、聞く。
その下に、足した。
点数は、評価じゃない。会話の、入口だ。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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