悩みのテーマ 傾聴・質問・離職防止 関連 質問の方法(クローズド・オープン)

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保育園の園長が、保育士に「十点満点で何点」と聞いた話

保育園 園長・50代前半 人間関係

保育園の園長、松尾は、保育士の、河合に、声を、かけた。

「最近、どう」

「大丈夫です」

河合は、いつも、笑って、答えた。

笑っては、いた。ただ、その笑顔が、少し、疲れて、見えた。

松尾は、もう一度、聞こうとして、やめた。

また、「大丈夫です」が、返ってくる気がした。


その夜、松尾は、昔の、研修ノートを、開いた。

スケーリング質問、という言葉が、あった。

気持ちを、言葉にするのが、苦手な人には、数字で、答えてもらう。

松尾は、試してみることに、した。

翌日、河合を、事務室に、呼んだ。

「今の、仕事の手応えは、十点満点で、何点くらいかな」

河合は、少し、驚いた顔を、した。

「そうですね。四点、くらいでしょうか」


松尾は、その点数を、そのまま、受け取った。

「四点か。ゼロ点じゃ、ない理由を、聞かせてほしい」

河合は、少し、考えた。

「子どもたちが、笑いかけて、くれるので」

「そうか。それは、大きいな」

松尾は、頷いた。

「五点に、なるとしたら、何が、変わっているだろう」

河合は、しばらく、黙った。

「書類の、時間が、減ったら」

初めて、本音が、出た。


松尾は、メモを、取った。

連絡帳の、書き方が、毎日、負担になっていること。夕方の、事務作業で、子どもと、向き合う時間が、減っていること。

「それは、大変だったな。気づかなくて、すまない」

「いえ」

「今週、できそうなことは、あるかな」

河合は、少し、考えた。

「連絡帳の、書式を、短くしても、いいでしょうか」

「いい。試そう」


二週間後、連絡帳は、半分の、長さに、なった。

松尾は、もう一度、聞いた。

「今は、何点だろう」

河合は、笑った。

「六点、です」

松尾は、手帳に、書いた。

言葉で、答えにくい人には、数字で、聞く。

その下に、足した。

点数は、評価じゃない。会話の、入口だ。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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