市役所の係長が、隣の課の係長と、月一回の昼ごはんを始めた話
上にも、下にも、言えなかった。横には、同じ顔の人が、いた。
読むStory
病院の、事務長、岡島は、毎日、夕方、事務室で、部下の、愚痴を、聞いていた。
「また、医師から、無茶な、依頼が」
「受付の、新人が、何度言っても」
岡島は、頷いた。
「そうか。大変だな」
聞いて、あげることが、事務長の、仕事だと、思っていた。
ただ、帰りの電車で、体が、重かった。
三か月、続いた。
岡島は、朝、起きるのが、つらくなった。
家に帰っても、部下の愚痴が、頭の中で、回っていた。
妻が、言った。
「あなた、最近、笑わなくなった」
岡島は、答えられなかった。
その夜、風呂の中で、考えた。
自分の、愚痴は、誰に、聞いてもらって、いるのだろう。
誰にも、聞いてもらって、いなかった。
翌日、岡島は、同じ病院の、他部署の、事務長、石黒に、声を、かけた。
「少し、話せるか」
石黒は、頷いた。
病院の、外の、喫茶店で、一時間、話した。
岡島は、初めて、自分の、疲れを、口に出した。
石黒は、聞くだけで、アドバイスを、しなかった。
最後に、言った。
「俺も、同じだ。月に一回、こうして、話そう」
岡島の、肩が、少し、軽くなった。
その後、岡島は、部下の、愚痴の、聞き方も、変えた。
「毎日、夕方に、聞くのは、やめる。週に一回、金曜の、十五分だけ、時間を、取ろう」
部下が、戸惑った。
「その代わり、愚痴の最後に、どうしたいか、を、一つ、教えてほしい」
愚痴は、少しずつ、改善の、相談に、変わっていった。
「受付の、新人には、マニュアルを、作りたいです」
「それは、いい。やってみよう」
三か月後、岡島は、また、笑うように、なった。
月に一回の、石黒との、時間が、支えに、なった。
岡島は、手帳に、書いた。
愚痴を、聞く人にも、吐き出す場所が、要る。
その下に、足した。
時間を、区切る。相手を、分ける。最後に、どうしたいかを、聞く。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
Stories
疲れの話を先に並べています。
上にも、下にも、言えなかった。横には、同じ顔の人が、いた。
読む頭が真っ白になった。責める前に、事実を三行、書いた。
読む考えないようにするほど、頭は冴えた。紙に出したら、少し静かになった。
読む休むと、気が休まらない。休みを、仕事の一部に、置き直した。
読む日曜の夜に耐えていた。手を打つ場所が、違っていた。
読む疲れているのは体だと思っていた。
読む何も起きなかった。それが、成果だった。誰にも、伝わっていなかった。
読む「どうする」と聞くたびに、部下は、考え込んで、動かなかった。
読む悩みのテーマ