食品メーカーの課長が、大きな発注ミスのあと、四つの順番で動いた話
頭が真っ白になった。責める前に、事実を三行、書いた。
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夜の一時。営業課長の石田は、天井を見ていた。
団体旅行の、キャンセルの件。部下の、見積もりのミス。来月の、数字。
考えるのを、やめようと思うほど、頭は、冴えた。
スマホを、手に取った。メールを、確認した。余計に、目が覚めた。
翌朝、石田は、寝不足のまま、出社した。
同僚の安藤が、コーヒーを、差し出した。
「顔色、悪いな」
「夜、考えちゃってな」
「紙に、出してみたらどうだ」
石田は、笑った。
「紙?」
「頭の中のものを、全部、書き出す。俺は、それで、少し楽になった」
その夜、石田は、ノートを、枕元に置いた。
十分間、気がかりを、書いた。
キャンセル。見積もり。数字。部長の、一言。自分の、焦り。
整理は、しなかった。単語を、並べただけだった。
書き終えて、見ると、思ったより、少なかった。
頭の中では、もっと、大きく、見えていた。
その中から、一つだけ、選んだ。
明朝、キャンセルの件を、先方に、電話する。
ノートを、閉じた。
寝ようとして、また、数字が、頭に、浮かんだ。
石田は、心の中で、言った。
明日の朝九時に、考える。
不思議と、浮かんだものは、そのまま、流れていった。
その夜は、一時間、遅れて、眠れた。
三日目の朝、石田は、ノートを、開いた。
昨夜の気がかりのうち、二つは、朝には、小さくなっていた。
キャンセルの電話は、先方の担当者が、思ったより、あっさり、了承してくれた。
石田は、安藤に、報告した。
「夜は、まだ、浅いけどな」
「それでも、いいだろう」
「うん。気がかりを、置いて、寝るようになった」
ノートの端に、石田は、小さく、書いた。
考えない、のではない。後ろに、送る。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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