悩みのテーマ 割り込み・見積もり・手戻り・週の進め方 関連 残業・時間・抱え込み

Story

内装工事会社の現場代理人が、見積もりに「確認の一日」を入れた話

内装工事会社 現場代理人・40代前半 時間

現場代理人の中村は、今日も、施主に、頭を下げていた。

「申し訳ありません。内装の引き渡しが、一日、遅れます」

今月、二度目だった。

施主は、不満を、飲み込んだ顔で、言った。

「次は、お願いしますよ」


事務所に戻ると、所長が、書類を、広げていた。

「中村、最近の工期を、見ると、毎回、一日か二日、遅れているな」

「すみません」

「腕は、いいんだ。見積もりの、置き方だと思う」

中村は、顔を上げた。

「過去の工事の、実際の日数を、並べてみるか」


その夜、中村は、直近の工事を、八件、表にした。

予定、七日。実際、九日。

予定、五日。実際、六日。

予定、十日。実際、十二日。

平均で、一・二倍。必ず、遅れていた。

遅れる原因も、書いた。材料の到着待ち。施主の、変更。検査の、立ち会い。

どれも、予定には、入れていなかった。


翌週の、見積もりから、中村は、変えた。

早くできる場合。普通。遅くなる場合。

三つを、書いた。そして、普通と遅い場合の、間を、取った。

さらに、確認の一日を、足した。

「工事は、五日。検査と、施主様の、確認に、一日。合計、六日で、お願いします」

施主は、頷いた。

「余裕を、見てくれているんですね」

「はい。確認の時間も、含めています」


工事が、始まった。

三日目の夕方、中村は、進み具合を、確認した。

材料の到着が、半日、遅れていた。

中村は、その日のうちに、施主に、伝えた。

「材料が、半日、遅れています。確認の予備日で、吸収できます。引き渡しは、予定通りです」

施主は、安心した顔を、した。


引き渡しの日。

中村は、予定通りに、鍵を、渡した。

施主が、言った。

「前回と、違いますね」

「見積もりを、見直したんです」

事務所に、戻ると、所長が、言った。

「工期が、守れているな」

「余裕を、隠さずに、書くようにしました」

中村は、手帳の端に、書いた。

遅れるのは、腕ではない。型だった。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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