地方銀行の支店長代理が、会議の前の五分で、一言を書いておいた話
会議が始まってから、考えていた。五分前に、三つだけ決めたら、言葉が出た。
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現場代理人の中村は、今日も、施主に、頭を下げていた。
「申し訳ありません。内装の引き渡しが、一日、遅れます」
今月、二度目だった。
施主は、不満を、飲み込んだ顔で、言った。
「次は、お願いしますよ」
事務所に戻ると、所長が、書類を、広げていた。
「中村、最近の工期を、見ると、毎回、一日か二日、遅れているな」
「すみません」
「腕は、いいんだ。見積もりの、置き方だと思う」
中村は、顔を上げた。
「過去の工事の、実際の日数を、並べてみるか」
その夜、中村は、直近の工事を、八件、表にした。
予定、七日。実際、九日。
予定、五日。実際、六日。
予定、十日。実際、十二日。
平均で、一・二倍。必ず、遅れていた。
遅れる原因も、書いた。材料の到着待ち。施主の、変更。検査の、立ち会い。
どれも、予定には、入れていなかった。
翌週の、見積もりから、中村は、変えた。
早くできる場合。普通。遅くなる場合。
三つを、書いた。そして、普通と遅い場合の、間を、取った。
さらに、確認の一日を、足した。
「工事は、五日。検査と、施主様の、確認に、一日。合計、六日で、お願いします」
施主は、頷いた。
「余裕を、見てくれているんですね」
「はい。確認の時間も、含めています」
工事が、始まった。
三日目の夕方、中村は、進み具合を、確認した。
材料の到着が、半日、遅れていた。
中村は、その日のうちに、施主に、伝えた。
「材料が、半日、遅れています。確認の予備日で、吸収できます。引き渡しは、予定通りです」
施主は、安心した顔を、した。
引き渡しの日。
中村は、予定通りに、鍵を、渡した。
施主が、言った。
「前回と、違いますね」
「見積もりを、見直したんです」
事務所に、戻ると、所長が、言った。
「工期が、守れているな」
「余裕を、隠さずに、書くようにしました」
中村は、手帳の端に、書いた。
遅れるのは、腕ではない。型だった。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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時間の話を先に並べています。
会議が始まってから、考えていた。五分前に、三つだけ決めたら、言葉が出た。
読む全部を引き受けて、全部が遅れた。一覧にして、順番を上司に返した。
読む完成してから見せるのが、礼儀だと思っていた。直しが、いつも、大きかった。
読む全部に、答えていた。自分の仕事は、夜にしか、進まなかった。
読む事実を聞いたつもりだった。部下には、犯人探しに聞こえていた。
読む打ち上げは、毎回やった。振り返りは、一度もやらなかった。
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