悩みのテーマ プロジェクトの振り返り

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ゲーム開発会社のディレクターが、同じ遅れを三つのプロジェクトで繰り返した話

ゲーム開発 ディレクター・30代後半 時間

三つ目のプロジェクトの最終週に、ディレクターの河合は、同じ画面を見ていた。

アセットの納品が、また、遅れていた。

一つ目のプロジェクトでも、二つ目でも、同じ場所で、遅れた。そのたびに、河合は、徹夜で巻き返した。

終わったあとには、打ち上げをした。「お疲れさま」と、全員で、グラスを合わせた。

振り返りは、したことがなかった。


三つ目のプロジェクトが終わった夜、河合は、後輩のプランナーに、言われた。

「前も、アセットの納品が、遅れてましたよね」

「前の前も、だ」

河合は、笑って答えた。笑うしかなかった。

後輩は、笑わなかった。

「なんで、毎回、同じ場所なんでしょう」

河合は、答えられなかった。

理由を、知らなかった。誰にも、聞いたことがなかった。


翌週、四つ目のプロジェクトの初日の前に、河合は、会議室を取った。

「十分だけ、時間をください」

メンバーは、不思議そうな顔をした。

河合は、付箋を三色、配った。

「続けたいこと、一つ。変えたいこと、一つ。次の人に渡すこと、一つ。三つ目のプロジェクトを思い出して、書いてほしい」

十分で、付箋は、二十枚ほど貼られた。

変えたいことの付箋に、同じ言葉が、四枚並んだ。

「納品の期限が、外注と共有されていない」


河合は、その場で、決めた。

外注への発注書に、納品の期限と、中間の確認日を、必ず書く。担当は、プランナーの後輩。次のプロジェクトの開始前までに。

付箋の写真を撮って、共有フォルダに置いた。

四つ目のプロジェクトの開始日、河合は、最初の会議で、三分、そのメモを読み上げた。

「前回、変えると決めたことは、これだ」


四つ目のプロジェクトでも、アセットの納品は、一度、遅れかけた。

ただ、中間の確認日に、遅れが分かった。

河合は、徹夜をしなかった。外注に、連絡を入れて、期限を二日、前倒しにしてもらった。

打ち上げの前に、また、十分の時間を取った。

付箋は、前回より、少なかった。

「変えたいこと」の付箋は、一枚だけだった。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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