電機メーカーの課長が、振り返りで名前を出して、次の週から報告が減った話
事実を聞いたつもりだった。部下には、犯人探しに聞こえていた。
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三つ目のプロジェクトの最終週に、ディレクターの河合は、同じ画面を見ていた。
アセットの納品が、また、遅れていた。
一つ目のプロジェクトでも、二つ目でも、同じ場所で、遅れた。そのたびに、河合は、徹夜で巻き返した。
終わったあとには、打ち上げをした。「お疲れさま」と、全員で、グラスを合わせた。
振り返りは、したことがなかった。
三つ目のプロジェクトが終わった夜、河合は、後輩のプランナーに、言われた。
「前も、アセットの納品が、遅れてましたよね」
「前の前も、だ」
河合は、笑って答えた。笑うしかなかった。
後輩は、笑わなかった。
「なんで、毎回、同じ場所なんでしょう」
河合は、答えられなかった。
理由を、知らなかった。誰にも、聞いたことがなかった。
翌週、四つ目のプロジェクトの初日の前に、河合は、会議室を取った。
「十分だけ、時間をください」
メンバーは、不思議そうな顔をした。
河合は、付箋を三色、配った。
「続けたいこと、一つ。変えたいこと、一つ。次の人に渡すこと、一つ。三つ目のプロジェクトを思い出して、書いてほしい」
十分で、付箋は、二十枚ほど貼られた。
変えたいことの付箋に、同じ言葉が、四枚並んだ。
「納品の期限が、外注と共有されていない」
河合は、その場で、決めた。
外注への発注書に、納品の期限と、中間の確認日を、必ず書く。担当は、プランナーの後輩。次のプロジェクトの開始前までに。
付箋の写真を撮って、共有フォルダに置いた。
四つ目のプロジェクトの開始日、河合は、最初の会議で、三分、そのメモを読み上げた。
「前回、変えると決めたことは、これだ」
四つ目のプロジェクトでも、アセットの納品は、一度、遅れかけた。
ただ、中間の確認日に、遅れが分かった。
河合は、徹夜をしなかった。外注に、連絡を入れて、期限を二日、前倒しにしてもらった。
打ち上げの前に、また、十分の時間を取った。
付箋は、前回より、少なかった。
「変えたいこと」の付箋は、一枚だけだった。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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時間の話を先に並べています。
事実を聞いたつもりだった。部下には、犯人探しに聞こえていた。
読む任せたはずだった。毎日、席の後ろを通っていた。
読む全部を速くした。全体は、まったく速くならなかった。
読む自分でやったほうが早い。それはたぶん、合っていた。
読む二十件、と思うと、最初の一件で手が止まる。
読む全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読む五百円払えば、それで済む。そういう顔が、増えた。
読む悪い報告は、いつも、夕方に来る。
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