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広告制作会社のプロデューサーが、三割の時点で、企画を見せた話

広告制作会社 プロデューサー・30代後半 時間

プロデューサーの原田は、三日かけた企画書を、クライアントに、見せた。

「方向が、少し、違いますね」

担当者の、言葉に、原田の背中が、冷たくなった。

三日分の、作業。全部の、作り直し。

それが、三度目だった。


帰り道、原田は、先輩の佐伯に、愚痴を、こぼした。

「完成度を、上げてから、見せているのに」

佐伯は、笑った。

「完成させてから、見せるから、直しが、大きくなるんだ」

「未完成を、見せるのは、失礼では」

「失礼なのは、方向が違うものを、完成させることだ」

原田は、返事に、困った。


翌週、新しい企画が、始まった。

原田は、三割の時点で、見せることにした。

最初の日の夕方、目的と、案の骨組みだけを、一枚にまとめた。

細かい文章は、入れなかった。画像も、仮のままだった。

担当者に、電話した。

「五分だけ、見ていただけますか。方向だけ、確認したいんです」

「もう、見せてもらえるんですか」

「骨組みだけです。確認したいのは、一つです。結論を、コスト削減に置いて、よいでしょうか」

担当者は、少し、考えた。

「実は、コスト削減よりも、新規顧客の獲得が、今回の目的です」

原田は、息を、止めた。

最初の日に、分かった。


その日の夜、原田は、骨組みを、作り直した。

翌日の午前、もう一度、見せた。

「これなら、方向は、合っています」

担当者は、頷いた。

残りの二日間は、細部の、詰めに、使えた。


企画が、通った日、原田は、佐伯に、報告した。

「三割で、見せました。初日に、方向が、ずれていると、分かりました」

「だろう」

「未完成を、見せるのは、礼儀に、反しない」

佐伯は、頷いた。

原田は、手帳に、書いた。

見せる日を、仕事を始める前に、決める。

その横に、小さく、足した。

三割。方向だけ。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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