定年後に、月数万円を稼ぐ道を、経験から探した課長の話
大きく稼ぐ必要は、なかった。小さな収入と、役割が、暮らしを、変えると、知った。
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機械メーカーの、生産管理課長、野村は、五十二歳に、なっていた。
役職定年が、数年後に、迫っていた。
その先に、何ができるのか。
自分には、特別な、技術は、ない。
そう、思っていた。
ある日、先輩に、言われた。
「棚卸しを、してみろ。社内の当たり前は、社外では、価値になる」
野村は、ノートに、書いた。
過去の、部署と、役割。
製造現場の、立ち上げ。
資材の、調達。
生産計画の、調整。
納期遅れの、クレーム対応。
三十年の、経験を、書き出すと、ノートが、五ページ、埋まった。
次に、探した。
人から、よく、頼まれること。
野村は、思い返した。
他部署の、課長から、よく、言われること。
「野村さん、納期の、調整、お願いできませんか」
営業と、製造の、間で、話が、こじれると、いつも、呼ばれた。
後輩が、相談に来る、内容も、同じだった。
「複数の部署と、どう、折り合いを、つければ、いいか」
野村は、気づいた。
自分は、調整が、得意なのだ。
言い換えも、試した。
「課の、取りまとめ」は、「十人のチームの、進捗管理と、調整」。
「納期の、調整」は、「営業、製造、資材の、三部署間の、合意形成」。
「クレーム対応」は、「顧客の、不満を、整理して、解決に、導く」。
社内の、用語が、一般の、言葉に、なった。
最後に、一文に、まとめた。
「私は、複数の部署の、利害を、調整して、納期を、守る人」
野村は、その、一文を、職務経歴書の、冒頭に、置いた。
再雇用の、面談でも、話した。
人事の、担当者が、言った。
「その経験は、他の部署でも、必要です」
野村は、手帳に、書いた。
社内の当たり前を、社外の言葉に、直す。
その下に、足した。
頼まれることの中に、強みがある。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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