悩みのテーマ 期待と裏切り・期待のズレ

Story

「裏切られた」と思った課長が、部下の側の言い分を聞いて、黙った話

化学メーカー 営業企画課長・40代後半 人間関係

化学メーカーの、営業企画課長、土井は、怒っていた。

水曜の、会議で使う資料が、前日になっても、届かなかった。

部下の、長谷部に、頼んだはずだった。

先週、廊下で、すれ違いざまに、言った。

「次の会議の資料、よろしくね」

長谷部は、頷いた。

それなのに、来ない。

土井は、思った。

裏切られた。


その夜、土井は、長谷部を、呼んだ。

声は、低く、なっていた。

「資料は」

長谷部は、目を丸くした。

「資料、ですか。木曜の、会議の分では」

土井は、固まった。

「水曜だ」

長谷部は、手帳を、開いた。

そこには、「木曜 会議資料」と、書かれていた。

「廊下で、お話しいただいたとき、日付を、伺っていなかったので、先月の、パターンで、木曜かと」


土井は、何も、言えなかった。

自分は、「いつまでに」と、言っていない。

「水曜の会議に使う」と、頭の中では、決めていた。

それを、長谷部が、知っているはずだと、思い込んでいた。

長谷部に、裏切る気は、一ミリも、なかった。

「すまない。伝え方が、足りなかった」

土井は、頭を、下げた。

長谷部は、慌てて、言った。

「いえ、確認すべきでした。今夜中に、仕上げます」


翌朝、資料は、届いた。

土井は、手帳に、書いた。

裏切られた、と思ったら、期待を、書く。

その下に、足した。

いつまでに、を、言ったか。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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