リフォーム会社の営業が、見積もりの残りをスタンプカードにした話
二十件、と思うと、最初の一件で手が止まる。
読むStory
営業課長の杉本は、営業管理アプリの、導入を、半年かけて、終えた。
全営業に、アカウントを配った。説明会も、開いた。
導入の日、杉本は、部長に、報告した。
「予定どおり、完了しました」
部長は、少し、間をおいて、聞いた。
「それで、何が、良くなった」
杉本は、答えに、詰まった。
導入することが、仕事だった。導入したあとのことは、考えていなかった。
一か月後、営業の、田中が、こぼした。
「あのアプリ、入力が、面倒で。結局、手帳に、書いてます」
杉本は、他の営業にも、聞いた。
全員が、似たことを、言った。入力は、している。ただ、見る人が、いない。
アプリは、あった。使われていなかった。
その夜、杉本は、紙に、三つ、書いた。
目的。目標。手段。
手段は、アプリを入れることだった。
目標は。決めていなかった。
目的は。何のために、アプリを、入れたのか。
杉本は、鉛筆を、置いた。
営業が、お客様の状況を、すぐに、共有できるようにするため、だった。
翌日、杉本は、営業を、集めた。
「アプリを入れた目的を、あらためて、話したい」
全員が、顔を、上げた。
「お客様の状況を、チームで、すぐに、共有できるようにしたい。それが、目的だ」
田中が、手を、挙げた。
「それなら、入力の項目を、減らしてほしいです。今は、三十項目、あります」
杉本は、メモを、取った。
「何項目なら、続けられる?」
「五つ、です。お客様名、状況、次の約束、金額、困りごと」
杉本は、頷いた。
目標を、決めた。
営業の、訪問後の入力を、翌日の午前までに、行う。入力の項目は、五つ。入力率、九割。
手段は、アプリの、入力画面の、見直し。
一か月後、入力率は、九割を、超えた。
営業会議では、画面を、見ながら、状況を、共有できるようになった。
部長が、後日、聞いた。
「どうだ、アプリは」
杉本は、答えた。
「会議の時間が、三十分、短くなりました。お客様の状況を、全員が、知っています」
部長は、頷いた。
杉本は、手帳に、書いた。
手段は、目的ではない。
その下に、足した。
導入の前に、目的を、一文で、書く。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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