検査課長が、「大したことではないのですが」に、ありがとうと言った話
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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建材商社の、営業課長、大野は、商品説明が、うまかった。
製品の、特長。価格の、競争力。
訪問先で、席に着くと、すぐに、話し始める。
ただ、提案は、外れることが、多かった。
「いい商品ですが、うちの、今の課題とは、少し、違います」
そう、言われる。
部下の、三浦が、同行した日、言った。
「課長、相手の話を、聞く前に、説明を、始めていますね」
大野は、その日から、変えた。
訪問先で、最初に、五つの、質問を、した。
現状。「今、どのように、進めていますか」
困りごと。「その中で、手間や、不安は、ありますか」
影響。「それが、続くと、どうなりますか」
理想。「どうなれば、理想ですか」
決め方。「どなたが、いつまでに、決めますか」
ある工務店の、社長は、最初、短く、答えた。
質問を、続けるうちに、話が、深まった。
現場の、納期遅れが、増えている。
資材の、発注ミスが、原因。
続くと、顧客の、信頼を、失う。
理想は、発注の、手間を、半分にすること。
決めるのは、社長と、現場監督。
大野は、メモを、取り続けた。
提案書の、冒頭に、聞いた言葉を、そのまま、書いた。
「発注ミスで、納期遅れが、続き、顧客の信頼に、影響しているとのことでした」
社長は、読んで、言った。
「その通りだ。よく、聞いてくれた」
提案は、一度で、通った。
三か月後、大野の、受注率は、一割、上がった。
大野は、手帳に、書いた。
売る前に、聞く。
その下に、足した。
相手の言葉を、そのまま、提案に、使う。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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