検査課長が、「大したことではないのですが」に、ありがとうと言った話
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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機械メーカーの、営業課長、杉本は、提案の場で、よく、言われた。
「高いですね」
そのたびに、杉本は、言っていた。
「では、少し、お安くします」
利益は、削れた。
それでも、受注は、決まらないことが、多かった。
上司の、森が、言った。
「値引きは、最後の手段だ。まず、理由を、聞け」
次の、商談。
担当者が、言った。
「高いですね」
杉本は、息を、整えた。
「そうですね。ご検討が、必要ですよね」
否定は、しなかった。
「どの点が、気になりますか」
担当者は、少し、考えてから、答えた。
「価格そのものというより、導入後の、維持費が、不安で」
杉本は、続けた。
「維持費が、明確になれば、前に、進められますか」
担当者は、頷いた。
「それなら、上に、説明しやすい」
本当の理由は、価格ではなく、維持費の、見通しだった。
杉本は、持ち帰った。
保守契約の、内容と、五年間の、総費用を、表に、まとめた。
次の、打ち合わせ。
杉本は、表を、見せた。
導入費と、維持費を、合わせた、五年の、総額。
現在の、機械の、維持費と、比べると、五年で、むしろ、安くなる。
担当者は、言った。
「これなら、決裁を、取れます」
最後に、杉本は、言った。
「では、来週の、水曜に、決裁の、結果を、伺っても、よろしいですか」
次の日付を、決めて、終えた。
一週間後、受注が、決まった。
値引きは、しなかった。
杉本は、手帳に、書いた。
高いは、断りではない。理由を聞く。
その下に、足した。
次の日付と、内容を、決めて、終える。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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