検査課長が、「大したことではないのですが」に、ありがとうと言った話
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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部品工場の、課長、森山は、ため息を、ついた。
部下の、石井が、また、遅刻した。
今月、三回目。
「だらしない奴だ」
つい、口に、出た。
隣の、係長が、言った。
「でも、石井さん、夜勤の、応援も、してくれていますよ」
森山は、聞き流した。
昼休み、森山は、自分の、手帳を、見た。
先週、森山自身も、会議に、十分、遅れていた。
あのとき、自分は、どう、考えたか。
前の会議が、延びたから。仕方が、なかった。
自分の遅刻は、状況の、せい。
石井の、遅刻は、性格の、せい。
森山は、動きを、止めた。
どこかで、読んだ。
基本的帰属の誤り。他人の、失敗は、性格のせい。自分の、失敗は、状況の、せい。
森山は、石井を、会議室に、呼んだ。
「怒る、つもりは、ない。三回の遅刻、何があったのか、教えてくれないか」
石井は、少し、迷ってから、話した。
「実は、先月から、子どもの、送迎を、しています。妻が、病院に、通い始めて」
森山は、息を、のんだ。
「保育園が、八時半から。工場の、始業が、八時半で」
「そうだったのか」
森山は、考えた。
石井の、問題では、なく、始業時間の、仕組みの、問題でも、ある。
総務と、相談して、時差出勤を、導入した。
始業は、九時でも、八時でも、選べる。
石井は、九時に、した。
遅刻は、なくなった。
他の、社員からも、礼を、言われた。
「前から、そうしてほしかった」
森山は、手帳に、書いた。
遅刻は、性格より、状況を、先に、聞く。
その下に、足した。
同じ物差しで、自分も、見る。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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人間関係の話を先に並べています。
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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