検査課長が、「大したことではないのですが」に、ありがとうと言った話
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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商社の、部長、杉浦は、新しい、海外取引の、計画を、会議で、説明した。
「以上です。ご意見は」
沈黙。
ひとりが、言った。
「いい案だと、思います」
次々と、同じ意見が、続いた。
全員、賛成。
十五分で、会議は、終わりかけた。
杉浦は、立ち上がろうと、して、ふと、止まった。
全員が、賛成。
こんなに、きれいな、結論は、珍しい。
以前に、読んだ、同調の話が、浮かんだ。
上司が、先に、話すと、全員が、そこに、寄る。
自分は、冒頭で、「ぜひ、進めたい」と、言っていた。
杉浦は、言った。
「すみません。結論は、明日に、します。今から、一分間、各自、紙に、この案の、不安な点を、書いてください」
紙が、集まった。
十二枚。
読んで、杉浦は、息を、のんだ。
為替の、変動の、影響。現地の、支払いの、遅れ。
通関の、遅延。取引先の、信用調査が、浅い。
六枚に、同じ、不安が、書かれていた。
誰も、会議では、言わなかった。
「空気を、乱したく、なかった」
若手の、一人が、後で、そう言った。
翌日、杉浦は、案を、組み直した。
取引先の、信用調査を、やり直す。
支払いの、条件を、前払いに、近づける。
為替の、予約を、組み込む。
三週間後、取引先の、一社に、問題が、見つかった。
調査が、浅いまま、進めていたら、大きな、損が、出ていた。
杉浦は、手帳に、書いた。
全員賛成は、安心では、ない。点検の合図。
その下に、足した。
先に、紙に、書く。上司は、最後に、話す。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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人間関係の話を先に並べています。
その一言は、いつも、小さな声だった。受け止め方で、次の報告が、変わった。
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