工場長が、「うちの当たり前」を一枚に書いて、新人に渡した話
古参の背中を見て覚える、は、悪い癖も、写してしまう。良い当たり前を、紙にして見せた。
読むStory
医療機器メーカーの、開発部長、大塚は、早口だった。
技術の説明を、一気に、話す。
熱意を、伝えたかった。
だが、会議で、いつも、言われた。
「結論は、何ですか」
大塚は、結論を、話していた。
ただ、他の言葉に、紛れていた。
部下の、北川が、遠慮がちに、言った。
「部長、録音して、聞いてみませんか」
大塚は、渋々、頷いた。
会議の録音を、再生した。
自分の声は、思ったより、はるかに、速かった。
句点がなく、息継ぎもない。
結論は、三分の位置で、通り過ぎていた。
大塚は、恥ずかしくなった。
翌週、大塚は、試した。
大事な言葉の前に、一拍、置く。
「来期の、開発方針は」
間を置く。
「二つです」
結論は、ゆっくり、はっきり、言った。
数字の前にも、間を置いた。
「コストは」
間。
「二割、下がります」
会議室の、空気が、変わった。
全員が、大塚を、見た。
聞き手が、聞いていることが、分かった。
営業部長が、後で、言った。
「今日の話は、頭に入ってきた」
大塚は、驚いた。
内容は、同じだった。
変わったのは、間だけだった。
大塚は、手帳に、書いた。
結論の前に、一拍。
その下に、足した。
間は、怖がらずに、長めに。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
Stories
人間関係の話を先に並べています。
古参の背中を見て覚える、は、悪い癖も、写してしまう。良い当たり前を、紙にして見せた。
読む会議では、全員が、頷いた。紙に、書かせたら、三分の一が、不安と書いていた。
読む一人で始めると、浮いて見える。二人目ができた日から、営業所の空気が変わった。
読む注意しても、増えなかった。実施している人の割合を、そのまま貼ったら、少しずつ、動いた。
読む反対は、出なかった。ただ、一人だけ、視線が泳いでいた。空気に合わせていたのは、自分も同じだった。
読む正確な説明は、伝わる説明とは限らない。社長の言葉に、直したら、承認が下りた。
読む急がされた時ほど、一度止まる。一晩の間に、契約書の中の、見落としが見えた。
読む飾るのではなく、整える。姿勢と挨拶と一言で、新しい職場の空気は、少し、やわらいだ。
読む悩みのテーマ