工場長が、「うちの当たり前」を一枚に書いて、新人に渡した話
古参の背中を見て覚える、は、悪い癖も、写してしまう。良い当たり前を、紙にして見せた。
読むStory
住宅設備メーカーの、総務係長、小川は、転職を、考えていた。
迷った末に、夜、ネットの占いを、開いた。
画面には、こう、書かれていた。
「あなたは、外では明るく振る舞うが、内に悩みを抱えています」
「認められたい気持ちが、人一倍、強い」
小川は、ぞっとした。
当たっている。
自分のことが、全部、見透かされている。
翌朝、小川は、沈んだ顔で、出社した。
隣の席の、同僚、藤田が、聞いた。
「どうしたんですか」
小川は、スマートフォンを、見せた。
「占いが、当たりすぎていて」
藤田は、画面を、読んだ。
そして、言った。
「これ、私にも、当てはまりますね」
小川は、固まった。
「え」
「外では明るくして、内に悩みがある。ほとんどの人が、そうでは」
その日の昼、小川は、調べた。
バーナム効果。
誰にでも当てはまる曖昧な言葉を、自分だけのことだと、感じてしまう。
占いの文章を、見直した。
具体的な出来事は、一つも、書かれていなかった。
日付も、名前も、数字も、ない。
良いことと、悪いことが、両方、入っている。
小川は、息を、吐いた。
当たったのではなく、当てはまる言葉を、選ばれていた。
その夜、小川は、占いを、閉じた。
代わりに、紙に、書いた。
今の仕事で、困っていること。
転職で、得たいこと。
他の選択肢。
事実と、気持ちを、分けた。
一週間後、小川は、上司に、相談した。
異動の希望を、出すことになった。
転職は、その後に、考えることにした。
手帳に、書いた。
当たったと思ったら、別の人にも、言えるか、確かめる。
その下に、足した。
大事なことは、占いでなく、自分で決める。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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古参の背中を見て覚える、は、悪い癖も、写してしまう。良い当たり前を、紙にして見せた。
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