縫製工場の社長が、「出せるはずの利益」の漏れ先を、四つに分けて探した話
注文は、増えた。利益は、残らなかった。漏れていたのは、一か所では、なかった。
読むStory
機械部品商社の課長、島田は、新しい受発注システムの、完成を、祝っていた。
導入費用は、二千万円。
営業も、事務も、これで、残業が減ると、期待した。
半年後、島田は、月次の残業時間を、見て、肩を落とした。
減っていなかった。むしろ、少し、増えていた。
その日の夕方、事務の、石井が、残業していた。
島田は、のぞき込んだ。
「何をしているんだ」
「システムに、入力しています」
石井の机には、紙の、注文書も、あった。
「紙は?」
「部長が、紙に印鑑を、押す決まりです。システムの承認とは、別に」
島田は、言葉を失った。
システムの承認と、紙の承認が、両方、残っていた。
入力の手間は、二重に、なっていた。
その夜、島田は、ノートに、書いた。
変えたのは、道具だった。ルールは、何も、変えていない。
翌朝、島田は、受発注の、流れを、書き出した。
注文を受ける。システムに入力する。紙に印刷する。印鑑を押す。ファイルに、綴じる。
最後の三つは、システムの前から、あった手順だった。
誰も、理由を、知らなかった。
島田は、部長に、相談した。
「紙の承認を、やめたいと、考えています」
部長は、顔を、しかめた。
「なぜ、やめるんだ。昔から、あるルールだぞ」
「システムに、承認の記録が、残ります。紙は、二重です」
部長は、しばらく、考え込んだ。
「監査の、対応は?」
「システムの記録を、出力できます」
部長は、頷いた。
「三か月、試して、問題なければ」
三か月間、島田は、一つの部署だけで、紙の承認を、やめた。
旧ルールをやめる日を、決めた。
事務の、残業は、月に、十時間、減った。
三か月後、全社で、紙の承認を、やめた。
部長が、通りがかりに、言った。
「紙がないと、机が、きれいだな」
島田は、少し、笑った。
システムを、入れただけでは、足りなかった。ルールを、変えて、初めて、効いた。
手帳に、書いた。
道具の前に、ルール。
その下に、足した。
旧ルールをやめる日を、決める。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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時間の話を先に並べています。
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