機械メーカーの課長が、低い評価を「結果、基準、次の一手」で伝え直した話
やわらかく言ったつもりが、半年、伝わっていなかった。
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「さすがだな」
店長の内田は、成約した営業の若手、岡田に、そう声をかけた。
「ありがとうございます」
岡田は、頭を下げた。それだけだった。
内田は、いつも、そうしていた。ほめているつもりだった。
月末の面談で、岡田が、ぽつりと言った。
「店長に、さすがと言われると、うれしいんですが」
「うん」
「何が、よかったのか、分からなくて」
内田は、言葉が出なかった。
「次も、同じようにしていいのか、分からないんです」
内田は、その夜、手帳に書いた。
何が、よかったのか。自分は、何を見て、「さすが」と言ったのか。
思い出せなかった。見ていなかったのだ。
翌週、内田は、商談のそばに、立ってみた。
岡田は、お客様に、聞いていた。
「この車を、どなたが、いちばん多く、運転されますか」
お客様は、奥さんだと答えた。岡田は、運転席を、奥さん向けに、調整した。
内田は、メモを取った。
商談のあと、内田は、岡田に言った。
「運転する人を、最初に聞いた。それで、シートの調整が、早かった。お客様が、その場で、乗りやすいと言っていた」
岡田は、目を、見開いた。
「見てたんですか」
「見てた。次の商談も、最初に、その質問をしてくれ」
その日から、内田は、週に一人、一つだけ、見たことを伝えた。
「見積書の最後に、納車までの流れを、一行書いていた。お客様が、安心した顔をしていた」
「電話のあと、メモを、すぐ残していた。次の担当者が、すぐ動けた」
三週間目、岡田が、自分から言った。
「店長。この前の、運転する人を聞く話ですが」
「うん」
「後輩にも、教えてもいいですか」
内田は、少し、間を置いた。
「頼む」
月末、店の壁の、成約表に、数字が並んだ。
内田は、手帳に、一行、足した。
さすがは、やめた。見たことを、言う。
その横に、岡田の名前と、小さく、書いた。
ありがとう、と。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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評価・給料の話を先に並べています。
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