情報システム課長が、「いつもの警報」を、今日は確認した話
何度も鳴って、何も起きなかった警報だった。今日だけ、見に行くことにした。
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食品卸の、課長、若林は、営業職の、採用面接を、していた。
目の前の、応募者は、よく話した。
笑顔が、よかった。質問にも、すぐに、答えた。
十分も、たたないうちに、若林は、思った。
この人だ。
その場で、人事に、「採用で」と、伝えようとした。
そのとき、ふと、先月読んだ、本のことを、思い出した。
ダニエル・カーネマンの、『ファスト&スロー』。
人には、早い思考と、遅い思考がある。
早い思考は、一瞬で、答えを出す。
遅い思考は、ゆっくり、理由を確かめる。
若林は、手を止めた。
今の「この人だ」は、どちらだろう。
面接を、終えてから、紙に、書いてみた。
採用したい理由。三つ。
話が、うまい。笑顔が、いい。返事が、早い。
三つとも、印象の、話だった。
仕事の、実績は、一つも、なかった。
若林は、苦笑した。
経歴書を、読み返した。
三回の、転職。どれも、一年未満。
面接では、話題に、ならなかった。
翌日、若林は、もう一度、応募者に、会った。
「前職を、辞めた理由を、教えてください」
応募者は、少し、言葉に、詰まった。
「人間関係が、合わなくて」
三つの、会社、すべて、同じ理由だった。
若林は、見送りを、決めた。
別の、応募者は、地味だった。
話は、ゆっくりで、笑顔も、少なかった。
ただ、前職の、数字を、細かく、覚えていた。
三年、同じ会社で、顧客を、減らさなかった。
若林は、その人を、採用した。
手帳に、書いた。
直感は、速い。だから、先に、疑う。
その下に、足した。
理由を、三つ書く。一晩、置く。それでも、残れば、決める。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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