悩みのテーマ 対応に悩む社員・遅刻・指示を聞かない

Story

コールセンターのリーダーが、「覚えない」新人に、一日一つだけ教えた話

コールセンター リーダー・30代後半 人間関係

「それ、昨日も、教えたよね」

リーダーの森田は、新人の石井の画面を、覗き込んで、言った。

石井は、小さく、頷いた。

「すみません」

また、同じ質問だった。顧客情報の、変更の手順。三日前にも、昨日も、教えた。

森田は、ため息を、飲み込んだ。


その夜、森田は、自分が、教えた内容を、思い出した。

研修の初日に、一度に、十個の手順を、説明していた。

石井は、頷いていた。メモは、取っていなかった。

聞かれたら、口頭で、答えていた。

覚えられないのは、石井ではない。残らない教え方を、していた。


翌日から、森田は、教え方を、変えた。

一日、一つだけ。

その日は、顧客情報の、変更の手順に、決めた。

まず、森田が、画面を見せながら、やって見せた。次に、石井と、一緒に、やった。最後に、石井に、一人で、やってもらった。

森田は、横で、見ていた。

間違えたら、その場で、止めた。

手順書も、作った。五つの手順に、画面の写真を、貼った。

石井も、自分のノートに、書いた。

夕方、森田は、言った。

「今日は、これだけ。明日の朝、もう一回、聞くから」


翌朝、森田は、一分だけ、確認した。

「昨日の、顧客情報の変更。手順、覚えているか」

石井は、ノートを、見ずに、答えた。

「一、顧客番号を、確認。二、変更の項目を、選ぶ。三」

三番目で、止まった。

「三は、本人確認、ですよね」

「そう。一つだけ、抜けた。もう一回、やろう」

石井は、画面を、操作した。


二週間が、過ぎた。

石井は、教わった手順を、十個、覚えた。

覚えた順に、手順書に、印がついていた。

ある日、石井は、自分から、言った。

「私、見て覚えるより、書いて覚えるほうが、合っているみたいです」

「それは、いい発見だ」

森田は、手帳に、書いた。

教えるのが、下手だったのは、自分だった。

その下に、続けた。

一日一つ。見せて、やってもらって、翌日に、確認する。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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