動くべき問題と、待てばよい問題を、課長が三つの問いで切り分けた話
全部に、すぐ動こうとして、疲れていた。待っても、いいものがあると、知らなかった。
読むStory
自動車部品メーカーの、調達課長、新井は、発注の数量を、一桁、間違えた。
納品された、部品は、必要な、十倍だった。
損失は、数百万円。
倉庫に、積まれた段ボールを、見た時、頭が、真っ白になった。
その夜、新井は、ほとんど、眠れなかった。
翌朝、新井は、早く出社して、原因の、分析を、始めようとした。
資料を、広げた時、先輩の、小川が、声をかけた。
「新井。今日は、何も、するな」
「しかし、早く、原因を」
小川は、静かに、言った。
「立ち直りには、順番がある。衝撃の最中に、整理は、できない」
新井は、手を止めた。
小川は、続けた。
「衝撃。整理。再開。今は、衝撃の段階だ。休め」
新井は、その日、午後から、休みを、もらった。
家に帰り、横になった。
眠れなくても、目を閉じた。
夕方、近所を、三十分、歩いた。
温かい、うどんを、食べた。
何も、考えなかった。
三日目、新井は、紙を、取り出した。
整理の段階に、入った。
事実を、書いた。
発注の画面で、桁を、間違えた。
確認の、手順が、なかった。
数字の、入力に、ダブルチェックが、なかった。
責める言葉は、書かなかった。
一週間後、新井は、再開した。
最初の仕事は、定型の、発注書を、期限内に、出すことだった。
それが、できた。
次の週は、小さな、見積の、依頼。
三週間後、新井は、いつもの、仕事の量に、戻った。
小川に、礼を、言った。
小川は、言った。
「順番を、守ったからだ」
新井は、手帳に、書いた。
衝撃、整理、再開。
その下に、足した。
段階を、飛ばさない。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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