動くべき問題と、待てばよい問題を、課長が三つの問いで切り分けた話
全部に、すぐ動こうとして、疲れていた。待っても、いいものがあると、知らなかった。
読むStory
精密機器メーカーの、品質保証課長、井上は、出荷した、製品に、不具合が、見つかったと、取引先から、連絡を、受けた。
大きな、クレームだった。
夕方から、原因を、調べ始めた。
夜の、十時を、過ぎても、手が、止まらなかった。
資料を、読み、記録を、洗い、同じ、数字を、何度も、見た。
頭が、働かなくなっていた。
見かねた、部下の、水野が、言った。
「課長。今日は、帰りませんか」
井上は、首を、振った。
「原因が、分かるまでは」
水野は、静かに、言った。
「疲れた頭で、原因を、探すと、見落とします」
井上は、手を、止めた。
確かに、同じ資料を、三回、読んでいた。
何も、頭に、入っていなかった。
井上は、その夜、帰宅した。
温かい、味噌汁を、飲んだ。
風呂に、ゆっくり、浸かった。
眠れなかったが、横になって、目を、閉じた。
考えが、浮かんだら、紙に、書いて、机に、置いた。
「明日、考える」
翌朝、井上は、いつもより、頭が、軽かった。
出社して、原因の、分析に、戻った。
昨夜、見落としていた、点に、気づいた。
特定の、ロットだけ、検査の、記録が、抜けていた。
一時間で、原因は、絞れた。
取引先への、報告も、冷静に、できた。
井上は、水野に、言った。
「あの時、止めてくれて、ありがとう」
水野は、笑った。
「課長が、休むのも、仕事です」
井上は、手帳に、書いた。
直後は、休む。
その下に、足した。
大きな判断は、翌日に。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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全部に、すぐ動こうとして、疲れていた。待っても、いいものがあると、知らなかった。
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