化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読むStory
引っ越し会社の課長、竹内は、お客様からの、苦情の電話を、受けていた。
「ピアノを、運ぶと、言いました。作業員は、聞いていないと、言っています」
声は、怒りを、含んでいた。
竹内は、受話器を、握った。
営業の、三浦が、受けた見積もりに、ピアノの運搬は、含まれていなかった。
お客様は、口頭で、伝えたと、言った。
三浦は、聞いていないと、言った。
竹内は、まず、謝った。
「ご不便をおかけして、申し訳ありません。事実を、確認して、本日中に、ご連絡します」
電話を、切ってから、三浦を、呼んだ。
三浦は、青い顔を、していた。
「言いましたか、聞いていないんです」
竹内は、静かに、言った。
「誰が、言った、言わないは、いま、決めない。事実を、並べよう」
二人で、記録を、見返した。
見積もりの、依頼のメール。電話の、メモ。見積書。
メールには、ピアノの話は、なかった。電話の、メモにも、なかった。
ただ、三浦の、メモの、端に、小さく、「楽器?」と、書いてあった。
竹内は、それを、指さした。
「ここに、何か、書いてあるな」
三浦は、メモを、見た。
「確かに、書いてあります。何かの、話は、出たかもしれません」
竹内は、頷いた。
竹内は、お客様に、電話した。
「事実を、確認しました。見積もりの段階で、楽器の、お話があったかもしれませんが、運搬の内容として、確認できていませんでした。当社の、確認不足です」
お客様は、少し、黙った。
「影響は、ピアノを、運べないことです。専門の、業者を、手配できます。費用は、当社が、半分、負担します。明後日の、午前中に、運べます」
お客様は、長い、息を、吐いた。
「分かりました。それなら、お願いします」
その夜、竹内は、三浦と、再発防止を、考えた。
見積もりの前に、特殊な荷物を、確認する、チェックリストを、作った。ピアノ。大型の家電。美術品。
お客様に、渡す、確認書にも、同じ項目を、入れた。
翌週から、全営業が、使い始めた。
一か月後、荷物の、食い違いの苦情は、ゼロに、なった。
竹内は、手帳に、書いた。
言った、言わないは、決着しない。事実を、時系列に、並べる。
その下に、足した。
影響、修正、再発防止。この順番で。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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