悩みのテーマ 中間管理職・板挟み

Story

保険代理店の所長が、部下の不満を、数字に直して本部へ上げた話

保険代理店 所長・50代前半 人間関係

保険代理店の所長、岡部は、本部の、会議の席に、いた。

「現場から、書類の、手続きが、多すぎて、困るという、声が、出ています」

本部の、課長は、首を、傾げた。

「それは、慣れの、問題では、ないですか」

岡部は、言葉を、返せなかった。

会議は、次の、議題に、移った。


その夜、部下の、望月が、聞いてきた。

「所長、本部に、話して、くれましたか」

「話した」

「どうでした」

岡部は、少し、間を、置いた。

「慣れの問題と、言われた。すまない」

望月は、笑った。笑ったが、目は、笑っていなかった。

「そうですか」

それだけ、言って、席を、立った。

岡部は、その背中を、見て、思った。

声を、上げた、つもりに、なっていた。


翌日、岡部は、事務員の、全員に、聞いた。

「書類で、時間が、かかっているのは、何だ」

返ってきた、答えは、具体的だった。

契約の、変更手続きに、同じ内容を、三つの、書式に、書く。一件、四十分。月に、八十件。

岡部は、計算した。

月に、五十三時間。

岡部は、ノートに、三つ、書いた。

事実。変更手続きに、一件四十分。月八十件。 影響。月に五十三時間。繁忙期は、お客様への、連絡が、遅れている。 案。三つの書式を、一つに、まとめる。


二週間後、岡部は、本部に、もう一度、話した。

「先日の、件を、数字に、しました」

資料を、一枚、見せた。

本部の、課長は、画面を、見た。

「月に、五十三時間か。これは、確かに、大きい」

「書式を、一つに、まとめられれば、四十分が、十五分に、なります」

課長は、少し、考えた。

「システム部に、確認する。時間は、かかるが、進めよう」


岡部は、その日のうちに、望月に、伝えた。

「本部に、数字で、話した。検討を、始めて、もらえることに、なった」

望月は、驚いた顔を、した。

「本当ですか」

「前回は、ただ、伝えただけだった。申し訳なかった」

三か月後、書式は、一つに、まとまった。

岡部は、手帳に、書いた。

不満は、事実に、直す。数字で、示す。案を、添える。

その下に、足した。

結果は、必ず、部下に、返す。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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