化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読むStory
飲食チェーンの店長、堀内は、休憩室で、固まっていた。
アルバイトリーダーの、野村から、退職願を、渡された。
「辞めたいです」
堀内は、頭が、真っ白に、なった。
「どうして。突然、すぎる」
野村は、静かに、言った。
「突然では、ないです」
その言葉が、胸に、刺さった。
その夜、堀内は、振り返った。
野村は、ここ三か月、変わっていた。
朝礼で、意見を、言わなくなった。新メニューの、提案が、なくなった。シフトの、希望に、休みが、増えた。
飲み会にも、来なくなった。
どれも、小さな変化だった。
一つずつなら、見逃して、しまう。
堀内は、ノートに、書き出した。
口数。提案。勤務の様子。将来の話。周りとの距離。
五つとも、当てはまっていた。
野村は、結局、辞めた。
堀内は、その後、同じことが、起きないよう、気をつけた。
三か月後、別のスタッフ、岡崎の、様子が、変わった。
口数が、減った。遅刻が、増えた。
堀内は、すぐに、声を、かけた。
「最近、疲れて、いるように、見えたから。何か、手伝えることは、あるか」
岡崎は、驚いた顔を、した。
「見て、くれていたんですか」
「ああ」
岡崎は、ぽつぽつと、話した。
新人の、教育を、任されて、自分の、仕事が、回らなくなっていた。
誰にも、相談できずに、いた。
堀内は、聞いた。
「新人の教育は、誰かと、分けられるか」
「できれば」
「来週から、教育は、二人で、持とう」
岡崎は、辞めなかった。
その後、堀内は、月に一回、全員と、短く、話す時間を、作った。
近況。やりがい。困りごと。
堀内は、手帳に、書いた。
辞めると言われる前に、サインは、出ている。
その下に、足した。
見るのは、変化。聞くのは、気づかいから。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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