化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
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部品メーカーの課長、山本は、入社二年目の、新人の、大野に、声を、かけた。
「最近、どうだ」
「大丈夫です」
山本は、頷いた。頷いたが、会話は、そこで、止まった。
先週も、同じだった。その前の週も。
山本は、自分が、何かを、間違えて、いる気が、した。
昼休み、山本は、同期の、人事の、芦田に、愚痴を、こぼした。
「大野が、話してくれない」
芦田は、コーヒーを、飲みながら、言った。
「最近どう、って聞いた?」
「ああ」
「それは、重いよ」
山本は、目を、丸くした。
「重い?」
「話すのが、得意じゃない人には、自由に答える質問は、何を、答えればいいか、分からない」
「じゃあ、どうすればいい」
「二択で聞く。選ぶだけなら、考えなくて、済む」
翌日、山本は、試した。
「大野くん、今の仕事の量は、多めか、ちょうどいいか、どっちだ」
大野は、少し、考えた。
「多め、です」
声が、いつもより、はっきり、していた。
山本は、続けた。
「多めか。どのあたりが、そう感じる」
「検査の、書類が、増えて」
初めて、大野が、自分から、話した。
山本は、メモを、取った。
「検査の書類が増えて、手が、回らないんだな」
大野が、目を、上げた。
「はい。そうです」
その週から、山本は、二択で、入ることに、した。
進め方は、一人で、やりたいか、相談しながらが、いいか。
答えを、聞いて、理由を、軽く、聞く。
最後に、要約して、返す。
一か月後、大野から、話しかけて、きた。
「課長、検査の書類を、まとめる方法を、考えてみました」
山本は、思わず、笑った。
「聞かせてくれ」
その夜、山本は、手帳に、書いた。
話しづらい相手には、二択で、入る。
その下に、足した。
選べば、会話に、入れる。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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