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Story

旅行会社の課長が、連絡メールの一行目に、期限を書いた話

旅行会社 課長・40代前半 人間関係

旅行会社の課長、森本は、チーム全員に、メールを、送った。

団体旅行の、希望者の、名簿を、集めるための、連絡だった。

三日、経った。

返信は、二人だけ。

森本は、チャットで、聞いた。

「メール、見てくれた?」

部下の、近藤が、答えた。

「見ました。いつまでに、出せば、いいんですか」


森本は、自分の、メールを、開き直した。

件名は、「団体旅行の件」。

本文は、二十行。挨拶。背景。団体旅行の、経緯。注意点。

期限は、最後から、二行目に、あった。

「十五日までに、名簿を、お願いします」

森本は、頭を、抱えた。

読む人は、二十行を、読んでから、やっと、期限に、たどり着く。

読む前に、疲れる。


森本は、新しい、メールを、書き直した。

件名。「【お願い・十五日まで】団体旅行の名簿」

本文の、最初の、一行。

「十五日の十七時までに、担当するお客様の、名簿を、共有フォルダに、入れてください」

次の、一行。

「名簿の、形式は、前回と、同じです」

背景は、その下に、短く、書いた。

「団体旅行の、人数確定が、十六日の、ため」

読まなくても、動ける。そう、確かめて、送信した。


一時間で、五人から、返信が、来た。

「了解しました」

「入れました」

近藤が、席から、声を、かけた。

「課長、今回は、すぐ、分かりました」

森本は、頷いた。

「前回は、すまなかった」

「いえ。ただ、メールは、冒頭を、読んで、判断することが、多いので」


その日の、夕方、森本は、返信の、状況を、見た。

二十分で、全員の、確認が、取れた。

翌日、森本は、手帳に、書いた。

連絡は、用件。期限。やってほしいこと。詳細。

その下に、足した。

詳細は、読まなくても、動けるように。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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