物流センターの所長が、「気をつけよう」をやめて、点検表を作った話
注意喚起の貼り紙は、十枚あった。ミスは、減らなかった。
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設計事務所の所長、村瀬は、金曜の夕方、ホワイトボードを、眺めていた。
案件は、十五件。所員は、五人。
全員が、三件から五件を、同時に、持っていた。
誰に、聞いても、「忙しいです」と答える。
ただ、今週、完了した案件は、ゼロだった。
「みんな、頑張っているのに、なぜ、終わらない」
村瀬は、つぶやいた。
月曜の朝、村瀬は、所員の、進藤に、聞いた。
「今、何を、やっている」
進藤は、少し、困った顔を、した。
「A邸の、図面と、B社の、確認申請と、C店舗の、見積もりと」
三つ、挙げて、止まった。
「あと、もう一件、ありました」
自分でも、全部は、言えない。
村瀬は、気づいた。
仕事が、全員の、手の中で、途中のまま、止まっている。
その夜、村瀬は、数字を、出した。
進行中の、案件、十五件。
一人あたり、平均、三件。
完了までの、平均期間、四か月。
村瀬は、メモを、書いた。
同時に、持つ数に、上限を、決める。
翌日、所員を、集めた。
「今日から、一人、同時に、三件までにする」
所員が、ざわついた。
「残りは、どうなるんですか」
「待ちに、置く。一つ終わったら、一つ、入れる」
最初の、一週間は、不安だった。
待ちの、案件が、増える。
お客様から、「まだですか」と、聞かれる日も、あった。
村瀬は、頭を、下げた。
「順番に、確実に、進めます。A邸は、三週間後に、お渡しできます」
三週間後、本当に、A邸の、図面が、完成した。
続けて、B社の、確認申請も、通った。
一か月で、四件が、完了した。
三か月後、平均の、完了期間は、二か月半に、なった。
所員の、進藤が、言った。
「所長、最近、帰る時間が、早くなりました」
村瀬は、笑った。
「進めるのは、同じ人数でも、終わる件数が、増えた」
村瀬は、手帳に、書いた。
同時に、持つ数を、決める。
その下に、足した。
新しい依頼は、入れ替えで、受ける。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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時間の話を先に並べています。
注意喚起の貼り紙は、十枚あった。ミスは、減らなかった。
読むマーフィーの法則は、笑い話ではなかった。準備した人だけが、笑っていられた。
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読む全員に同じ時間を使っていた。数字を並べたら、時間の使い方が、逆だった。
読む最初に出た数字は、錨になる。錨を、外してから、数えなおした。
読む全員が、忙しいと、言っていた。本当に、忙しいのは、二人だけだった。
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