悩みのテーマ 対応に悩む社員・遅刻・指示を聞かない

Story

食品加工工場の班長が、「言うことを聞かない」人の止まり方を、三つに分けた話

食品加工工場 班長・50代前半 人間関係

班長の岡本は、ラインの前で、腕を組んでいた。

ベテランの田村が、新しい洗浄手順を、守っていなかった。

先月から、変更になった手順だった。岡本は、三回、伝えた。

「前のやり方で、いいんだよ。長年、これでやってる」

田村は、そう言って、前の手順で、洗浄を、続けた。

岡本は、腹が立った。反抗している、と思った。


その夜、岡本は、手帳に、書いた。

理解していない。納得していない。感情で、拒んでいる。

三つのうち、どれか。

翌朝、岡本は、田村に、聞いた。

「新しい手順を、自分の言葉で、言ってみてもらえますか」

田村は、少し、驚いた。

「洗剤を、二回に、分ける。それから、水で、流す」

「そうです。一つ、抜けています。最初の、予洗いが」

田村は、頷いた。

「ああ、そこは、聞いてなかったかもしれない」

理解は、ほぼ、していた。一か所、ずれていただけだった。


次に、岡本は、聞いた。

「新しい手順で、引っかかるところは、ありますか」

田村は、腕を組んで、少し、黙った。

「洗剤を、二回に分けると、時間が、五分、延びる。その五分、ラインが、止まる」

「はい」

「前は、止まらなかった」

岡本は、メモを取った。

「五分、止まることが、気になるんですね」

「そうだ。それを、誰も、聞いてくれなかった」

岡本は、静かに、頷いた。

納得していなかった。理由が、伝わっていなかった。


翌日、岡本は、品質管理に、確認した。

洗浄を二回に分ける理由は、先月の、異物混入の件だった。

岡本は、田村に、そのまま、伝えた。

「先月、他のラインで、異物の件があった。それで、洗浄を、二回にした。五分の延びは、予定に、織り込んである」

田村は、少し、考えて、言った。

「そういう話だったのか」

「最初に、説明すべきでした」

田村は、頭を、掻いた。

「分かった。やる」


その日から、田村は、新しい手順で、洗浄を、続けた。

三日後、田村は、ラインの新人に、言っていた。

「ここは、五分、延びるけど、理由が、あるんだ。聞いて、おけよ」

岡本は、離れたところで、聞いていた。

反抗では、なかった。

止まっていたのは、納得の、手前だった。

手帳に、岡本は、書いた。

聞かない、と決める前に、三つに分ける。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

Stories

ほかの物語

人間関係の話を先に並べています。

物語を、テーマ別に探す

悩みのテーマ

「対応に悩む社員・遅刻・指示を聞かない」を、続けて読む

このテーマの記事を、読む順番で見る