悩みのテーマ 1on1のやり方

Story

運用保守会社の課長が、1on1で聞いた夜勤の話を、三か月放置した話

運用保守 課長・40代後半 人間関係

「夜勤が、月に六回あるのが、つらいんです」

1on1で、部下の大野が、そう言った。

課長の渡辺は、メモを取った。頷いた。

「そうか。大変だな」

それで、1on1は、終わった。


三か月が過ぎた。

渡辺は、何度か、1on1をやった。大野は、毎回、同じ話題を、短く話した。

夜勤のことは、出なくなった。

渡辺は、安心した。もう、問題ではなくなったのだと思った。

ある日、大野が、席に来た。

「異動の希望を、出そうと思っています」

渡辺は、手を止めた。

「どうして」

大野は、少し黙った。

「夜勤の件、三か月前に話しましたが、何も変わらなかったので」


その夜、渡辺は、過去のメモを、読み返した。

「夜勤、月六回。つらい」と、書いてあった。その横に、何も、書いていなかった。

聞いた。だが、動かなかった。

大野は、動かないことを、見ていた。

渡辺は、メモの横に、日付を書いた。

翌朝、大野の席に行った。

「三か月前の件、動かなくて、悪かった。夜勤の分担は、今週、部長に相談する。来週の1on1で、結果を話す」

大野は、少し驚いた顔をして、小さく頷いた。


渡辺は、部長に、夜勤の分担表を見せた。

月六回は、大野だけではなかった。三人が、同じ回数だった。

部長は、しばらく黙って、言った。

「補充の人員は、すぐには出せない。ただ、来月から、一人を日勤に戻すことはできる」

翌週の1on1で、渡辺は、最初に、話した。

「夜勤は、来月から、月五回になる。完全には、減らせなかった」

大野は、頷いた。

「五回に、なるんですね」

「そうだ。これ以上は、いまは動かせない。ただ、三か月前に動かなかったことは、謝る」


異動の希望は、大野の手元で、止まったままだった。

数週間後、大野が言った。

「もう少し、いまの部署に、いてみます」

渡辺は、メモを取った。メモの横に、「次回までの一つ」と、書いた。

一つで、足りた。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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