化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読むStory
IT保守会社の課長、石原は、役員会議室の、末席に、座っていた。
勤怠システムの、入れ替えの、提案だった。
「まず、背景から、ご説明します。現行システムは、五年前に、導入されました。当時は」
役員の、一人が、腕を、組んだ。
三ページ目で、目を、閉じた。
石原は、焦った。
五ページ目で、ようやく、提案に、入った。
役員は、顔を、上げて、言った。
「で、結局、いくら、かかるんだ」
提案は、継続審議に、なった。
廊下で、同期の、部長が、声を、かけた。
「石原、提案は、悪くなかった」
「そうですか」
「ただ、順番が、逆だ。役員は、背景を、知っている。知りたいのは、何を、すると、どう、なるか」
石原は、会議室に、戻って、資料を、見直した。
背景に、五ページ。効果は、最後の、一ページ。
費用は、さらに、その後ろ。
読む人の、気持ちを、考えていなかった。
二週間後、石原は、再提案に、臨んだ。
一ページ目に、こう、書いた。
勤怠システムを、入れ替える。集計の、手間が、月三十時間、減る。
石原は、一ページ目だけを、読んだ。
「提案は、勤怠システムの、入れ替えです。効果は、集計の手間が、月三十時間、減ることです」
役員が、頷いた。
「背景は、現行が、来年三月に、サポート終了するためです。費用は、初期が、二百万円、年間が、六十万円。切り替えの間、二週間の、併用が、必要です」
不利な点を、先に、言った。
役員が、質問した。
「併用の、二週間は、現場に、負担は」
石原は、答えた。
「各部署に、一日三十分の、確認作業が、発生します。事前に、説明会を、行います」
十五分で、終わった。
役員は、言った。
「承認する。来月の、予算会議に、上げよう」
石原は、頭を、下げた。
席に、戻る、途中で、部長が、親指を、立てた。
その夜、石原は、手帳に、書いた。
提案は、中身と、効果が、先。背景は、後。
その下に、足した。
費用と、リスクは、隠さない。言った分だけ、信用される。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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人間関係の話を先に並べています。
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読む五百円払えば、それで済む。そういう顔が、増えた。
読む悪い報告は、いつも、夕方に来る。
読む全部引き受けるのが、課長の仕事だと思っていた。
読む愚痴なら、毎日言っていた。
読む三ページ読んでも、何をしてほしいのか分からないと言われた。
読む言ったつもりだった。伝わったのは、機嫌だけだった。
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