化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
読むStory
プロジェクトマネージャーの原田は、半年前まで、トップの、プログラマーだった。
マネージャーになって、チームの、納期が、遅れ始めた。
メンバーの、島田が、遅れていた。原田は、知っていた。
「大丈夫? 手伝おうか」
そう言って、毎回、島田の、コードを、自分で、直した。
夜中の、一時。
原田は、島田の、作業を、終えて、ため息を、ついた。
ある日、部長の、岡部が、原田を、呼んだ。
「最近、お前の、作業が、遅れているな。マネージャーの、仕事は、できているか」
「自分の作業が、遅れているのは、メンバーの、作業を、手伝っているからで」
岡部は、静かに、言った。
「それが、問題だ」
原田は、顔を、上げた。
「お前が見るのは、自分の作業では、ない。チームの結果だ」
その夜、原田は、自分の仕事を、三つに、分けた。
自分にしかできない仕事。誰でもできる仕事。メンバーの、成長になる仕事。
メンバーの、コードを、直す仕事は、三番目に、入っていた。
自分が、やるべき仕事では、なかった。
翌日の朝、原田は、島田に、言った。
「今日から、コードは、君が、直す。私は、レビューで、基準を、渡す」
島田は、不安そうな、顔を、した。
「大丈夫でしょうか」
「納期は、金曜。レビューの基準は、三つ。動くこと、読めること、テストが通ること。それが、満たされれば、合格だ」
島田は、紙に、書いた。
最初の一週間、島田の、コードは、基準を、満たさなかった。
原田は、レビューで、一つずつ、伝えた。
「ここは、読めない。変数の名前を、直してほしい」
「テストは、まだ、通っていない」
島田は、悔しそうに、頷いた。
原田は、直したい気持ちを、飲み込んだ。
二週目、島田の、コードは、基準を、満たした。
三週目、島田は、自分から、レビューを、頼んだ。
一か月後、チームの、納期は、守られた。
原田の夜は、早く、終わるようになった。
岡部が、通りがかりに、言った。
「顔色が、いいな」
「見る場所を、変えました」
岡部は、少し、笑った。
原田は、手帳に、書いた。
見る対象は、チームの結果。
その横に、足した。
いい人より、基準を、渡す人。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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