悩みのテーマ コールドリーディング・話術

Story

営業部長が、話術の巧みな部下に、使ってはいけない線を伝えた話

健康食品の販売会社 営業部長・50代前半 人間関係

健康食品の、販売会社の、営業部長、森田は、一人の、部下に、注目していた。

水野。

成績は、社内で、一位。

話術が、巧みだった。

顧客の、悩みを、すぐに、見抜く。

その場で、契約を、取ってくる。

森田は、評価した。

だが、解約の、件数も、同じように、多かった。


森田は、水野の、商談に、同行した。

高齢の、女性が、顧客だった。

水野は、言った。

「最近、膝が、お辛いでしょう」

女性は、驚いた顔で、頷いた。

「どうして、分かるんですか」

水野は、微笑んだ。

「そういう、お顔を、されていますから」

そして、続けた。

「今、始めないと、取り返しがつかなくなります」

「今日だけの、特別価格です」


帰りの車で、森田は、言った。

「水野君。さっきの、商談は、どうだった」

水野は、得意そうだった。

「決まりました」

森田は、静かに、聞いた。

「あの方が、家族だったら、同じように、話せるか」

水野は、黙った。

「不安を、あおらなくても、売れる商品か」

水野は、答えられなかった。


翌日、森田は、チームに、三つの線を、示した。

事実を隠さない。不利な点も、聞かれたら答える。

不安につけ込まない。今だけで、急がせない。

断る余地を残す。いいえ、と言っても、関係は壊れない。

水野は、黙って、聞いていた。


三か月後、水野の、成績は、二位に、下がった。

だが、解約の件数は、半分に、なった。

ある顧客から、手紙が、届いた。

「商品を、押し売りされなかった」

水野は、それを、手帳に、挟んだ。

森田は、水野に、言った。

「話術は、道具だ。誰のために、使うかで、決まる」

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

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