化学メーカーの品質管理課長が、説明会で白い紙を回した話
全員が、うなずいていた。全員が、分かっていなかった。
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建材卸会社の所長、高田は、ある朝、発注の、新しい様式を、配った。
「今日から、この様式で、発注してください。旧様式は、使えません」
営業の、ベテラン、松本が、目を、見開いた。
「急に、言われても。お客様との、約束が、あります」
「決まったことだ」
高田は、そう言って、席を、立った。
三日後、発注の、ミスが、増えた。
新しい様式に、慣れない、営業が、記入を、間違えた。
事務の、女性が、困った顔で、言った。
「所長、新様式の、記入ミスが、多くて、確認が、増えています」
高田は、驚いた。
変更は、手戻りを、減らすための、ものだった。
実際は、増えていた。
その夜、高田は、考えた。
何が、いけなかったのか。
新しい様式自体は、正しかった。ただ、なぜ変えるのか。誰の仕事が、どう変わるのか。いつまでに、移るのか。
何も、伝えていなかった。
翌朝、高田は、全員を、集めた。
「先日の、変更について、説明が、足りなかった。すまない。あらためて、話したい」
高田は、三つを、順に、話した。
「理由。確認の手戻りが、月に、二十件、ありました。それを、減らすためです」
営業の、松本が、頷いた。
「影響。営業の、記入の項目が、三つ、増えます。ただ、事務の、確認の電話は、減ります」
「移行期間。今月末までは、旧様式も、受け付けます」
松本が、手を、挙げた。
「記入の、項目が、増えるのは、負担です。例を、用意してもらえませんか」
高田は、メモを、取った。
「記入例を、作る。明日、渡す」
翌日、記入例が、配られた。
記入ミスは、半分に、減った。
一か月後、高田は、全員に、聞いた。
「困っていることは」
営業の、若手が、言った。
「記入例が、あると、助かります。ただ、一か所、項目の名前が、分かりにくいです」
高田は、その場で、名前を、直した。
二か月後、手戻りは、月に、二十件から、八件に、減った。
松本が、後日、高田に、言った。
「最初から、あれを、言ってくれれば」
高田は、苦笑いした。
「そうだな。次から、そうする」
手帳に、書いた。
ルールを変えるときは、理由、影響、移行期間。
その下に、足した。
正しい変更は、伝え方で、決まる。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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