自動車教習所の所長が、八つあった目標を、一つに絞り直した話
全部が大事だった。だから、全部が、進まなかった。
読むStory
公共図書館の館長、河野は、期初に、職員の、井上に、目標を、伝えた。
「今期は、子ども向けの、イベントを、三回、企画してほしい」
「分かりました」
井上は、素直に、頷いた。
河野は、安心した。
半年後、河野は、井上の、進み具合を、聞いた。
「イベントの、企画は、どうなっている」
井上は、資料を、見せた。
三つの、イベントの、案。どれも、大人向けの、読み聞かせ会だった。
河野は、目を、疑った。
「これは、子ども向けでは、ないのか」
井上は、戸惑った。
「子ども向けの、本を、読む、イベントなので」
河野は、言葉を、探した。
河野の意図は、小学生が、一人で、参加できる、体験型の、イベントだった。井上は、保護者が、一緒に、聞く、読み聞かせの形を、考えていた。
半年、ずれていた。
その夜、河野は、ノートに、書いた。
目標を、伝えた。分かりましたと、返事を、もらった。それだけで、確認した、つもりに、なっていた。
翌朝、河野は、井上を、呼んだ。
「半年も、ずれたまま、にしていた。私の、確認が、足りなかった」
井上は、驚いた顔を、した。
「いえ、私も、聞き返せば、よかったです」
河野は、首を、振った。
「あらためて、目標を、すり合わせたい。今期の、目標を、井上さんの、言葉で、言うと、どうなる?」
井上は、少し、考えて、言った。
「子ども向けの、イベントを、三回、企画する、ということです」
河野は、頷いた。
「子ども向け、とは?」
「保護者と、一緒に、参加する、読み聞かせ会、だと、思っていました」
河野は、息を、吐いた。
「そこだ。私は、小学生が、一人で、参加できる、体験型を、考えていた」
二人は、一時間、話した。
目的は、何か。子どもが、本に、親しむきっかけを、作ること。
目標は。小学生が、年に、三回、体験型の、イベントに、参加する。
井上は、驚いた。
「それなら、工作や、スタンプラリーも、いいですね」
河野は、頷いた。
井上の、案が、次々と、出てきた。河野は、メモを、取った。
その日の夕方、河野は、すり合わせた、目標を、メールで、井上に、送った。
「今期の目標。小学生が、一人で、参加できる、体験型の、イベントを、三回、企画する。一回目は、十二月」
翌月、井上が、一回目の、企画を、持ってきた。
スタンプラリーの、企画だった。
河野は、思わず、笑った。
「いい。これで、行こう」
河野は、手帳に、書いた。
目標は、本人の言葉で、言い直してもらう。
その横に、足した。
分かりました、は、確認ではない。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。
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