悩みのテーマ 疲れ・気疲れ・休み方 関連 期待と裏切り・期待のズレ

Story

後輩に抜かれて裏切られたと思った夜、課長が二つの列に書き分けた話

精密機器メーカー 技術課長・40代後半 疲れ

精密機器メーカーの、技術課長、安田は、夜の、八時に、人事の、通知を、見た。

後輩の、中島が、自分より先に、部長代理に、昇格する。

安田が、三年かけて、育てた後輩だった。

胸が、ざわついた。

裏切られた。

そう、思った。

怒りで、手が、震えた。


安田は、中島に、メッセージを、送りかけた。

「おめでとう。ずいぶん、うまく、やったな」

指が、止まった。

これは、祝福では、ない。

安田は、画面を、閉じた。

その代わりに、紙を、取り出した。

真ん中に、線を、引いた。

左に、事実。右に、気持ち。


左に、書いた。

中島が、部長代理に、昇格する。

自分は、課長の、まま。

右に、書いた。

悔しい。

置いていかれた、ようで、恥ずかしい。

育てたのに、報われなかった、ようで、悲しい。

書いているうちに、気づいた。

右の列の、半分は、中島に対する、気持ちではなかった。

自分に、対する、不満だった。


その夜は、結論を、出さなかった。

ぬるい茶を、飲んで、寝た。

翌朝、安田は、紙を、もう一度、読んだ。

左の、事実だけを、見た。

中島は、何も、裏切って、いない。

自分が、育てた通りに、育って、評価された。

それだけだった。


出社して、安田は、中島に、声をかけた。

「昇格、おめでとう」

中島は、驚いた顔で、言った。

「ありがとうございます。安田さんに、教わったことが、全部、役に立ちました」

その言葉は、嘘では、なかった。

安田は、手帳に、書いた。

裏切られた夜は、動かない。

その下に、足した。

事実と気持ちを、二列に、分ける。

この物語はフィクションです。実在の人物、団体、企業とは関係ありません。

Stories

ほかの物語

疲れの話を先に並べています。

物語を、テーマ別に探す

悩みのテーマ

「疲れ・気疲れ・休み方」を、続けて読む

このテーマの記事を、読む順番で見る